RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語
監督:錦織良成
出演:中井貴一/高島礼子/本仮屋ユイカ
2010年/日/130分/☆☆☆
批評 一直線なだけではなく、なにかこう、工夫が欲しい
エリート街道を驀進していた男が、親の病気で「自分の好きなことを」やり始める物語。
48歳で電車の運転手になった男の実話を映画化。
狙った平坦さで作られた中年男の成長物語としてはまずまずだと思うのだが、いかんせん平坦に作りすぎたと思う。
“主人公の物語”という意味ではそれでよいと思うのだが、背景に家族の物語がある以上、その部分を台詞だけでぶつ切りで説明するのは、バランスが悪い。
最後に、主人公の奥さんが口にする「このままで良いのよね?」という台詞は、それまでの積み重ねが無ければ活きない台詞だろう。
出雲の夫と、東京の妻。それを、行き来することで繋ぐ娘、という構図を作り出せなかったことが、この作品の弱さだろう。
娘はずっと出雲にいるように見えるし。(大学がある、という台詞があるにもかかわらず、だ)
それと、これは予算なのだろうが、季節感が無さ過ぎる。
会社辞めて、鉄道会社に入って、研修受けて運転手になって、というのが、夏の間に全部起きているようにみえる。
このあたりにも、もうちょっと、工夫がほしかった。
決して悪い出来だとは思わないし、狙っていることは全部出来たのだろうが、それを支える細部に、気を配らなすぎた作品だと思った。