それでもボクはやってない
監督:周防正行
出演:加瀬亮/瀬戸朝香/山本耕史
2007年/日/143分/☆☆☆☆☆
批評 秀逸なる邦画に出会えたっ!
痴漢現行犯で逮捕された男は、無罪を主張した。
上映時間147分におよぶ長編映画にして、コメディを得意とする周防監督とは思えぬ無骨な仕上がりになっている。
犯人の発言には、一切耳を貸さない警察と検察。
耳を傾ける裁判官は地方に飛ばされ、耳を貸す裁判官だけが裁判所に残る。
作品の根底にあるのは、日本の裁判に対する激しい怒りだろう。
だが、悲壮感を得意のユーモアで包み込み、その怒りさえも娯楽に仕立て上げてしまう手法はさすがだ。
その上、作品を見ているだけでは冤罪を主張する主人公が、本当に冤罪なのかどうか分からないと来ている。
日本でも陪審員制導入が決定しているが、この映画では、早くも観客が考え、判断することを試される事になる。
色々な意味で考えさせられる映画であり、娯楽映画であり、優れた社会批判映画である。
素晴らしい映画であった。