スパイダーマン3
監督:サム・ライミ
出演:トビー・マグワイア/キルステン・ダンスト/ジェームズ・フランコ
2007年/米/139分/菊池浩司/☆☆☆
批評 駄作ではないのだが・・・
愛しの MJ とは気持ちがズレ、親友は復讐に燃え、謎の宇宙生物につきまとわれ、おじさんを殺した憎き犯罪者も登場し、すっかりヤサぐれてしまったスパイダーマンの明日はどっちだ!?
個々のエピソードが折り重なって一つの話になるという、前二作の構造を放棄。
個々のエピソードがすべて同じ主題で、全部集まっても同じ主題を繰り返すという展開が、この映画を、妙に狭いものにしてしまっていると思う。
悪役を複数投入して、どんなに豪華な特殊効果を使おうとも、この方式で観客を魅せるのはちょっと無理があった。
東映特撮ものかっ!!と口走りたくなる、主人公の堕落ぷりと、人間的駄目さを発揮する中盤の展開こそやや見所になっているが、私としては、ここにきて東映特撮を理解したかサム・ライミといいたくなってしまうのも事実。
宇宙刑事の昔から、ヒーローは堕落しても失敗して落ち込んでも立ち上がって強力な敵を打ち倒す者よっ!!
いつ「レオパルドン」が出てくるのか期待してしまったくらいだからな。
話がそれた。
脚本が破綻していないのは救いではあるが、構造的に弱い部分を覆い隠せるほどの力や勢いのある内容ではない。
映像的には非常に派手だし、演出もさすがの堅実さを見せているが、これでは存分に楽しめるとは言い難い出来だ。
シリーズものは、進むにつれて質が低下するという経験的法則がある。
「スパイダーマン」も、その経験的法則にはまりこんでしまったか。