さくらん
監督:蜷川実花
出演:土屋アンナ/椎名桔平/成宮寛貴
2007年/日/111分/☆☆
批評 「さくらん」?むしろ「錯乱」
吉原遊郭で伝説になる花魁の物語。
らしい。
最後まで見ても、いまいちどういう意味で伝説になったのか分からない。
高級花魁として有名になったのか、それとも悪い意味で伝説になったのやら・・・
問題点はたくさんある。
が、歴史的正確さを求めている作品ではないので、時代考証が狂っているのは無視しよう。
濡れ場の一部は、物語内での意味が薄く、全ての濡れ場にエロチズムが無く、、ただ濡れ場があるだけなのも、無視して良かろう。
配役と配役に年齢的な無理があるのも、いい。我慢しよう。よくある事だからね。
脱走等の問題を起こして罰として縄でぐるぐる巻きにされているシーンが何回か有るが、どれもこれも抜けられそうに見えるのも、いいだろう。気にするのをやめよう。
だが、吉原遊郭という場をまるで描けていないのはいただけない。
「こんな場所にいたら駄目だ」と主人公が幼い頃に幾度も口走るが、場の狂気を描けていないから、ただ上っ面しか見えない。
幼女の頃にのぞき見た濡れ場が、思いっきり淫靡に描けていればその言葉に説得力もあっただろうに。
また、成り上がって行く中でも、場が描けていないことがマイナスに働く。
吉原で地位が上がっているらしいのだが、どうしても「吉原の中にある店」で成り上がっているようにしか見えない。
あらゆる意味で近視眼的に世界を構築し、周辺を、街を、空間を描けなかった作品だと思う。
画は綺麗なんだけどねぇ・・・