ラッキーナンバー7
監督:ポール・マクギガン
出演:ジョシュ・ハートネット/ブルース・ウィリス/ルーシー・リュー
2006年/米/111分/岡田荘平/☆☆☆
批評 卑怯者っ!!
ネタバレ有り
すべては幸運のラッキナンバーから始まった。
ニューヨークに流れ着いた不運な男。
友人の部屋に到着すると、部屋の主と勘違いされてギャングに拉致される。
開放されると、また別のギャングに拉致されて・・・
前半に展開される勘違い合戦のコミカルさと、後半のシリアスな展開の差が面白い。
前半の伏線の張り方が見事で、さらに、コミカルな中にも陰のあるシーン、暴力的なシーンを入れておくことで、観客の意識に「単純にコミカルな作品ではない」と刷り込ませることに成功しているからだろう。
おかげで、後半のシリアスに切り替わる部分も、違和感を抱かせることなく、スムーズに切り替わる。
だがしかし。
物語の謎解き段階に入ると、この映画の持つ卑怯さが明るみに出てしまう。
前半の、複線かと思われた部分が、実は伏線でもなんでもなく、単に卑怯なだけだったという事が分かってしまうからだ。
冒頭、主人公がニューヨークに降り立つシーンから先、実際には経験していない部分を主人公視点で映像にしてしまい、さも時系列に従った動きのように描写しているが、これがすべて嘘。
実際に起きたこととは異なる。
これは、ミスディレクションではなく、たんに卑怯なだけだ。
ヒロインが部屋を訪れるところから始まり、そこでの会話劇を使ってここまでの経緯を紹介する構造になっていれば、ただそれだけでこの卑怯っぷりが薄れただろう。
そして、その構造になっていれば、「見事にだまされたっ!!」と嬉しそうに言えただろうに。
そうなっていない本作は、単なる卑怯な構成というだけだ。