リトル・ミス・サンシャイン
監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス
出演:グレッグ・キニア/トニ・コレット/スティーヴ・カレル
2006年/日/100分/古田由紀子/☆☆☆☆☆
批評 負け犬とは、負けるのが怖くてなにもしないヤツの事だ
成功への理論を口にしつつ、まったく成功から程遠い場所にいる父親と、ゲイで自殺未遂を起こした叔父、ヤク中の爺さん、テストパイロットになるまで口を利かないと宣言をして、それ以来、本当に口を利いていない兄。
一人、たぶん常識があるんだと思う母親は家庭を救おうとしつつキレる寸前。
幼い娘は、ミスコン優勝を夢見る子供。
てんでバラバラの家族が、幼い娘の夢への旅を通し、再生するまでの話。
思ったことはなんでも口にする、ポルノ雑誌とヤクを愛する爺様は言う。
「負け犬とは、負けるのが怖くてなにもしないヤツの事だ」
この映画は、まさにこの台詞を表現するためだけにある映画だ。
映画に出てくる家族の連中は、そろいもそろって、世間的には負け犬ばかり。
しかし、それでも彼らは決して逃げ出さない。
「負け組の何が悪い」
それらのメッセージを、まったく説教臭くすることなく、しかし誇り高く、声高らかに歌い上げる。
気持ちの良い映画であった。