どろろ
監督:塩田明彦
妻夫木聡 、柴咲コウ 、瑛太
2007/日/138分/☆
批評 遅いアクション、寒い演技
手塚治虫の不人気打ち切り漫画「どろろ」を実写映画化。
とは言え、体の47個所と魔物に奪われ、それを取り戻す旅をしている、という物語の大枠以外はまるで似ていないアクションファンタジー映画になっている。
そう、アクションファンタジー映画なのだ。
にもかかわらず、アクションシーンが弱いってのはどういうことだろうか?
カット割で誤魔化すという情けない (上に不自然になる) 方法を取らなかった代わりに、妻夫木聡がまったく体が動いていないことがバレバレ。
CG との合成も売りの一つのようだが、場所による出来 / 不出来が激しく、予算規模では数十分の一しかないであろう「仮面ライダー響」(TV 版) のアクションシーンと大差ないようなシーンもあり、別の意味で衝撃を受けることが出来る。
このアクションシーンを、本当に、あのチウ・シウトンが撮ったのだろうか?
ドニー・イェンが撮った、予算規模では比較にならないくらい小ささであったであろう「修羅雪姫」の血沸き肉踊るアクションシーンには遠く及ばないこの画を。
私はとても悲しい。
予告編から予想された柴咲コウの演技は、こうなるととどめの一撃になる。
出てきて台詞を口にするたびに脱力を誘うのは、ある意味、凄いことなのかもしれないが、映画全体としてはマイナスにしかなっていない。
中井貴一や中村嘉葎雄と言った、私の好きな俳優が出ているし、土屋アンナが魔物として出てきて、しかも変化した時は、それだけに加点してやろうかと思うくらい楽しんだが、まさにその一瞬だけ。
終わってみれば、「あぁ、時間を無駄にした」としか思えない映画であった。