墨攻
監督:ジェィコブ・チャン
出演:アンディ・ラウ/アン・ソンギ/ワン・チーウェン
2006年/中・日・香・韓/133分/小坂史子/☆☆☆
批評 ヒロイン抹殺指令
大国に攻め込まれた小国が、が頼りにしたのは、攻撃を否定する思想集団、墨家。
そこから一人の男がやってきた。
彼は、城が元々持つ数千の戦力で、十万の大軍と対峙する。
様式美的な活劇映画ではなく、史劇風の重厚な戦争映画。
香港映画的の得意とする超絶格闘戦シーンはなりを潜め、ハリウッドの得意とする CG 大量投入も行わず、中国映画的人海戦術によって生み出された迫力の映像が、見る物を圧倒する。
知略の限りを尽くして防衛戦を指揮する主人公。
勇猛で清廉な攻撃武将。
目の前の利益にとらわれ続け、疑心暗鬼におちいる無能な国王。
主人公の思想に惹かれてゆく若き王子。
それらの登場人物が、それぞれの立場の違いを明白にし、状況に応じて、時間に応じて変化してゆく様を描き、同時に、彼らの関係性が変化してゆく、この描写は見事。
上手い脚本だとうならせられる。
惜しむらくは、全体から浮きまくっているヒロインの存在だ。
コイツが居なければ、もっと物語が締まって、面白くなったと思うのだが。