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スーパーマン リターンズ
監督:ブライアン・シンガー
出演:ブランドン・ラウス/ケヴィン・スペイシー/ケイト・ボスワース
2006年/米/154分/林完治/☆☆☆☆

批評 面白いが、観客を選ぶ

 クラーク・ケント(スーパーマン)、ロイス・レーン、レックス・ルーサーと言った名前を聞いて、キャラクタが分かる人。
 そして、少なくとも前の映画版「1」「2」を見たことがある人。
 この映画は、そうした人でなければ分からんし、それ以外の人を想定しているとはとても思えない作りになっている。

 物語そのものは、作中で繰り返されるように、「スーパーマンは必要なのか?」だ。
 スーパーマン一人がいたところで、争いも犯罪も、なくなりはしない。
 彼はすべての「悪」を潰せるわけでは無いのだ。

 さすがはハリウッド映画というべきか、このテーマを真正面から、聖書になぞらえて展開する。
 スーパーマンが救世主と呼ばれていることからも、それは明らか。
 あげくに、命をとして最期の戦いに挑み、腕を広げ十字に倒れこみ、数日を置いて、人々の祈りの中から蘇る様は、キリスト以外の何者でもない。

 キリストが、その命と引き替えに世の罪を流しても、世界から罪は消えない。
 同じく、スーパーマンには悪を根絶することが出来ない。
 しかし、人々に善を見せ、悪を根絶できるかもしれないという希望を与えることは出来る。
 この映画は、恥ずかしくなるくらいまっすぐに、そのテーマを画く。
 そう、「スーパーマンは必要なのだ」。

 繰り返すが、前の映画版を見ていて、頭の中に入っている人向けの映画であり、それ以外の人は見ても「ツッコミどころ満載」の映画にしか見えない。
 しっかり作られた、上質のアメリカンヒーロームービーではある。
 しかし、確実に観客を選ぶ作品だ。

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