東京ゴッドファーザーズ
監督:今敏
出演:江守徹/梅垣義明/岡本綾
2003年/日/分/☆☆☆☆☆
批評 まずアニメであり、そしてアニメとなる
三人のホームレスが、偶然見つけた、捨てられた子供の親を捜すという物語。
捨てられた子供を捜す旅が、そのまま三人の自分捜しになっているあたり、典型的なロードムービーと見ることも可能な内容に仕上がっているが、画いているのは「奇跡」。
監督は「PERFECT BLUE」「千年女優」と、実写的な素材を、アニメーションならでは手法で画くことを得意としている今敏。
本作では、それまでの手法をさらに一歩推し進めているのが興味深い。
パンフレットでも書かれているが、抑え目の演技で実写的な動きを追求する近年の風潮のアニメーションでは無く、本作では実写的に書き込まれた背景に対して、キャラクタの身振りは誇張され、顔の表情はめまぐるしく、豪快に変化する、最近はあまり見ない“いかにもアニメー
この、実写的背景と、アニメーション的演技の摩訶不思議さに合わせて、「クリスマスから大晦日にかけて」の「雪が降る東京」を組み合わせた結果、作中で、あまりにも都合よく発生する奇跡も、素直に受け入れることが可能になっている。
映画の中で画かれる細かいエピソードも、コミカルでありながら現状を強烈に皮肉った部分が多く、一筋縄な作品には仕上がっていない。
こういう作品こそ、メジャーで公開すべきなのでは無いだろうか?
そう思わせる、良質な作品であった。必見。