あずみ
監督:北村龍平
出演:上戸彩/オダギリジョー/岡本綾
2003年/日/142分/☆
批評 これぞまさしく最低映画
この映画の主人公達は、育ての老人の命令のまま、仲間であろうとも斬り殺すようにそだてられた殺人機械である。
これは、行動原則が「命令」であるか、「己の快楽」の違いだけで、やってることは敵方と変わらない。どっちにせよ暴力 = 殺しの他にはなんにもないのだから。
問題はヒロインが、そういう行動を受けているにもかかわらず最初から人殺しに抵抗を覚えている点だ。
本来なら、そのために存在するのであろう大道芸人との触れ合いも、単なる遊び。
徐々に人間性に目覚め、それでも殺しをせざるを得ない物語ではなく、最初から悩んでいて、結局殺ししか残っていないことを確認する物語になってしまった。
だいたい、あの歳になるまで他の人間とまともに接触した事のない人間を社会に放り出して役に立つのか?
画もそうとう酷い。
すばやいカット回しで人間の体の動きを誤魔化し、カメラは意味も無く被写体の回りを回る。
宣伝からして、話題にしたいのであろう立てに回すカメラも痛々しくて見てられない。縦にカメラを回すと効果的だから、というよりも、縦に回した画を撮りたいからあの場所でチャンバラごっこをやってるようにしか見えぬ。
そう。あれは殺陣じゃない。
もちろんだが、他の殺陣も全てチャンバラごっこだ。刀を抜いたらきめポーズ。この連続で直接的に斬るシーンがない。たしかに斬新だね。
まったくもって、全然別の意味で面白い映画だ。