竜馬の妻とその夫と愛人
監督:市川準
出演:木梨憲武/鈴木京香/中井貴一
2002年/日/115分/☆☆☆☆
批評 説明がしつこい
今は亡き坂本竜馬の妻。
おりょうを愛した今の亭主。
坂本竜馬を愛した男。
坂本竜馬にあこがれた男。
四人の人間が描くラブコメディ。
問題は二つ。
一つは市川準は日常を積み重ねて生々しい日常を描くことを得意とし、三谷幸喜はライトタッチノコメディの脚本家だということだ。
物語の主軸の一つは、亭主 (=竜馬) を失った後のおりょうが、その寂しさの中で重ねる男性遍歴な分けだで、それをあまり生々しく描かれても、物語のノリとちょっと違うんじゃなかろうか?
とは言え異人種が溢れ返って現実感の薄れていた「みんなのいえ」とくらべると、地に付いた感じを受けるし、この映画が時代劇であるということを考えると、その“地に付いた感触”は必須だったのかもしれないが。
もう一つの欠点は説明。
揃いも揃って過去を見ている登場人物達の中で、一人だけ今を見ている人物。
この人物が実にダメ男であり、同時にそこが魅力となっている (その魅力を引き出した木梨憲武の演技は見事)。
そのことを片っ端から台詞で説明してしまう。見ていれば分かるように作ってあるにもかかわらず、そんなことを説明されるのはしつこいだけだ。
このあたり、親切を勘違いしとるんじゃなかと思う。
全体としては悪くない。十分に面白かった。特に、三谷映画の欠点であった“演出が映画じゃない”状態が払拭されたのは大きいと思う。
個人的には、今度は三谷幸喜の舞台脚本を別の人が映画用に脚本を書き直したのを見てみたいね。