ロックンロール・ミシン
監督:行定勲
出演:池内博之/りょう/加瀬亮
2002年/日/分/☆☆
批評 登場人物馬鹿ばかり
インディーズブランドの洋服を作る三人の男女と、そこに舞い込んだ人生を悩むサラリーマン男の物語。
とにかくインディーズブランドを作っている三人の男女、決定的に馬鹿。
原価に対する販売価格を考えていないために赤字体質が生まれている、という現実が見えていないのはただのガキだとしても、「黒字になるような販売価格でこれを買うか?」という質問に対して「買わない」と言い切るのは問題だろう。
その程度のデザイン能力しかないのに「おれは本物の服が作りてぇんだ」とか「妥協はしたくねぇんだ」などというのは、自己満足としてはありだろうが、商品としては許されないものだろう。
それを言ってるのが、ブランドデザイナー兼責任者 (主人公のサラリーマンの友人) で、誰もそれを止めないというのがなんとも救いがたい。
ヒロインとして登場するサラリーマン主人公の彼女もかなり馬鹿だ。
留守番電話に「あいまいになった関係をどうにかしたいから話し合いたい」とか言ってるくせに、主人公の部屋に押しかけてきていきなり服を脱ぎだしたり、それを襲うな馬鹿主人公!!という気分にさせられること必至。
そもそも主人公が別の女と帰ってきて不機嫌になるのもおかしい。おまえだってやったじゃネェか!!
この馬鹿どもを、不遇の男として捕らえていることが最大の問題だろう。
特に馬鹿の首領とも言うべきデザイナーなど、最後まで感傷的にしか撮らない。
どう考えてもただの馬鹿なんだから、馬鹿が馬鹿から成長するという話を、サラリーマンを狂言回しに進めればよいものを、現状に疑問を感じているサラリーマンが、馬鹿の騒ぎに付き合って、なんとなく成長した物語にしてしまったがためにおかしくなってしまったように思う。
現実ってのはこんなもんなのかもしれんが、それは映画じゃない。