リベラ・メ
(Libera Me)
監督：ヤン・ユノ
出演：チェ・ミンス／チャ・スンウォン／ユ・ジテ
2000年／韓国／119分／／☆☆☆☆
批評 アクション映画としては圧倒的に正しい
発生しつづける連続放火事件。火を自在に操る犯人と、消防士達の闘いがこの映画の物語。
物語がかなりおかしい。犯人が、犯罪に走る説明はあるのだが、人間関係の説明が思いっきり抜けている。希薄、というのではなく欠けているのだ。
物語の展開も、急展開したり説明を吹き飛ばしたりと、作りは雑。そもそも初期設定に若干の無理がある。
ようするに、物語面から見るとこの映画の完成度はそうとう低い。しかし、それらの欠点を補うのが画だ。
韓国の釜山フィルムコミッショナー全面協力の下、釜山市内にあるビルを二つと、LPガス6トンを消費してみせた火災シーンは、それだけで尋常ではない迫力を生み出している。
CG などの特殊効果を極力排したその画が、かすかに使われている CG の炎がいかに偽物っぽいかを実証してしまう結果になったのは皮肉だ。
また、役者を炎に突っ込ませただけあって、まさに迫真の演技。脅威の大迫力！！爆発シーンでカメラがぶれたときなど、冗談抜きで製作者の正気を疑った。そういう迫力だ。
また、その背景が希薄な割に消防士の撮り方がやたら格好イイのも特徴だ。
渋滞で立ち往生する消防車。現場を確認すべくその消防車の上に立つ隊長。その視線になって、足元の消防車からカメラを上にぐっと持ち上げる。
狭い路地に密集する車。先行する消防車もその渋滞に巻き込まれている。
まだぐっとあげる。そこに広がる火災現場！！これをワンショットでやった上で、おもむろに走るわけよ、渋滞の中を装備をかついだ消防士が走って現場に向かうのよ！！
自然と巻き起こる衆人観衆からの拍手に後押しされて！！
くぅぅぅぅ～格好イイ！！まるで消防庁提供の消防隊員賛美フィルムみたいだけどな(笑)