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最低映画への
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最低映画への有罪判決【特別篇】
緊急投降
「パール・ハーバー」の井筒批評を斬る


参考書籍、井筒和幸「こちトラ自腹じゃ」(ワニマガジン2002年)


○上映中に話している(P137-P138)
 話していること自体が許されざる行為です。
 周りに迷惑をかける、という行為そのものが常識を逸した人間の行動であることを認識すべきです。
 もう50歳を越えておられる (プロフィールによると1952年生まれ) 方が、周りに迷惑をかけない、という程度の常識さえ持ち合わせていないのでは、昨今の五月蝿い観客も仕方ないのだろうか?という絶望を感じさせてくれます。

 注意しておきますが、会話して周りに迷惑をかけるのがいけない、と言っているのです。映画を見て笑ったり泣いたりというので音を立ててしまうのには怒りません。


○「泣くようにクッサく作ってあるもん」(P141)
 台詞も画も矛盾しまくっている映画のどこらへんが泣くように作られているのか、私にはさっぱり理解できません。
 故に「パール・ハーバー」を見て泣いているパートナーに、「1回病院行ったほうがええよ。物理的な病気かもしれんから」(P140) というアドヴァイスを送ったのには賛同します。


○「トラ トラ トラ!」って見てるんですよ。20年くらい前に日本で作られた(P141)
 まず「トラトラトラ!」は1970年の作品なので、30年前の作品です。しかも日本の映画ではありません。あれはダリル・F・ザナックが 20世紀 FOX で制作した純然たるハリウッド映画です。
 日本軍のシーンを日本人スタッフが撮影したに過ぎません。あの映画では、米軍のシーンは米人スタッフが撮影しています。
 監督はリチャード・フライシャー/舛田利雄/深作欣二。
 余談ながら、黒澤明が途中で下ろされ、自殺未遂を起こす原因となった映画です。


○(太平洋戦争に関する話に関して)
いろんな資料からわかってきたことですが、「ルーズベルトは黙っていた」ということはわかっているんですよ。(P142)
 おそらくロバート・E・スティネット「真珠湾の真実」あたりの本をお読みになり、それを元にした発言だと思われますが、この本そのものに問題が多いことをご存知ではないようです。

 まず、「ハワイに知らせていなかった」というのは嘘です。
 攻撃があることを、米軍は予測しており、また全軍に警戒を呼びかけていました。
 にも関わらず日本軍のハワイ奇襲攻撃が成功したのは、戦略レベルでは日本軍の作戦が米軍の予想より優れていたにすぎませんし、戦術レベルでは、低空侵入してきた日本軍機をレーダーが捉えていたにもかかわらず、それを友軍機と誤認すると言ったヒューマンエラーの積み重ねの結果です。
 これらはすべて「トラトラトラ!」の中にもあります。

 製作年の間違い、製作国の間違い等と合わせて推測しますと、「トラトラトラ!」という映画に関して、かなりあやふやな記憶しか持っていないのではないのか?という疑念を抱かざるを得ません。
 あやふやどころか間違ってるんですがね。


○(開戦に関して)
僕らは、もっと理知的なもの、アメリカと日本の政府の暗号のやり取り、見抜きあい (中略) それを見たい。そうやって戦争って二国がやるんだなっていうことこそ見たい(P142〜P143)
 広島に原爆落としたことまでいいなさい (中略) 自分たちが勝手に勝った勝ったって、ぬかすな!!(P143)
 はたしてこの人の頭の中はどうなっているんだろうか?戦争が二国間だけのものという考え方そのものがまったく理解不能なのは勿論、そもそも映画のジャンルが違います。
 この理論を使ってしまうと、「日本の一番長い日」でも「黒い雨」でもなんでも否定出来てしまいます。
 「なんでそうなったのかの説明が無い、その後にどんなことをやったのか描け」と。

 この人は知っているのだろうか?日本軍が宣戦布告もなしに南京まで攻め込んだことを。南京大虐殺を。重慶爆撃を。朝鮮半島を、中国と、東南アジアを陵辱したという事実を?
 日本の映画がそれらを描いたことが無いということを知っているのだろうか?
 自分達がやれていないことを、人には望んでいるとうことを、この人は認識しているのだろうか?
 あの戦争において日本は断じて正義ではなかった。アメリカも正義ではなかった。
 それは事実だが、また事実では無いとも言える。戦争の本質は人殺しなのだ、そこに正義など無い。あるのは許されざる罪だけだ。


○(CG はよく出来ていた、という話の中で)
どっか (データの) 打ち込み間違ってないかなーって見てやろう思ってね(P145)
 その後の文章を読む限りでは、彼はどうやらあの CG の矛盾点を見つけられなかったようです。
 力学計算を行っていないのがバレバレな航空機の機体挙動は放っておいたとしても、台詞と矛盾し、前後もおかしく、カラーリングの違う零戦が飛び交い、歴史的にも変なところだらけの真珠湾攻撃シーンが良く出来ていると表現するという神経は激しく理解に苦しみます。
 あの映像を一回見て、矛盾点を指摘できない程度の認識力しかないのに、映画監督は勤まるんですね。


○総括
 「パールー・ハ−バー」は猛烈に酷い映画です。近年まれに見る酷い映画です。
 私が馬鹿にしまくった「有罪判決」も酷いものです、しかし、この本に書かれている批評はもっと酷い代物です。

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