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監督:カン・ジェギュ
出演:チャン・ドンゴン/オダギリジョー/ファン・ビンビン
2011年/韓/145分/根本理恵/☆

批評 なにがやりたいの?

 いくつもの欠点がある。
 目立つのは、軍隊が狂っている事。
 かなり長い時間をかけて描写される日本軍が、とても軍隊とは思えない組織編制、組織論で動き、戦略も戦術もなんもかんも考えずに動いているとしか思えないこと。
 ほかにも、日本軍、ソ連軍、独軍の描写がどれもまったく同じだとか、独軍に合流した後、日本軍の仕官が一兵卒として扱われているのはなぜかとか、問題は実に多い。
 韓国は徴兵制なので、スタッフは軍事行動の基礎知識はあるはずなのだが、なぜこんなことになってしまうのだろうか。

 しかし、これらはこの作品における大きな欠点にはなっていない。
 台詞と絵が矛盾しているところも多いが、それらもたいした問題ではない。
 この映画の致命的な欠点は、登場人物、朝鮮人と日本人、二人の主人公の描写が薄っぺらいことだろう。

 朝鮮人の主人公、ジュンシクは過剰な善人で、日本人の主人公、辰雄は過剰な馬鹿。

 たとえば、辰雄が朝鮮人を敵視するきっかけとなる祖父の暗殺事件。
 この祖父はなぜ暗殺された?
 彼は朝鮮人に対し、なんら差別的なことをせず、パーティーにも日本人も朝鮮人も呼んでいる。
 その会場でプレゼントの中に爆発物が見つかった瞬間、彼は身を挺し命を持って被害を押さえ込む。

 祖父の差別的悪行を描き、「殺されても仕方なかった」と観客に思わせる状況で、朝鮮人の同胞を巻き込まないように実施された爆弾テロであれば、辰雄が朝鮮人に反感を持っても、「いくら祖父が好きでも、自業自得で殺されたんじゃないか」と、観客に思わせられただろうが、そうはなっていない。
 正直、この描写で、辰雄が朝鮮人に反感を持つのは当然だとしか思えない。(とはいえ、ここからなんであそこまで馬鹿になってしまうのかは分からないわけだが)
 そして、この後も、辰雄は物語上の“イベント”にさまざまな影響を受け続ける。

 逆に、ジュンシクはこの事件になんの影響もうけない。
 朝鮮人が、同じ朝鮮人を巻き込んで爆弾テロを仕掛けたことに対しても、何かを思っている描写は無い。
 荷物を渡したことで日本軍に疑われ、障害を負った父親の世話をするだけだ。
 この後も、ジュンシクは物語上の“イベント”には影響を受けない。“影響を受けた人”“イベントの結果”対応する行動を取るだけだ。

 状況に、唯々諾々と従っている主体性の無い人間が魅力的なのか?

 戦争アクション映画としても、戦争映画としても、男の友情物語としても、なんだかどれも中途半端で欠点の目立つ仕上がりであった。

 なお、歴史は生き延びた人間が好きなように書くものなので、その描写に関しては一切気にしない。

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