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聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-
監督:成島出
出演:役所広司/玉木宏/柄本明
2011年/米/140分/戸田奈津子/☆☆☆

批評 どこが「70年目の真実」なの?

 多数決意見がまっとうな結論を生むとは限らない。
 情報は意図的に曲げられる。
 等、山本五十六を通して語られる現代にも通じる批判構造は面白い。
 なによりも特徴的なのは (やはり現代批判に通じるのだが)、日本が戦争へ向かう中で、メディアが煽り立てたという部分を描いたことと、先のことを考えずにいた (“非道”と呼ばれるハルノートが、そもそもなぜ出てきたのか) ということを描いたことだろう。

 とはいえ、正直、それらをきちんと映画の中に活かせているかというと、正直、周辺が弱くて上手く機能しているとは言いがたい。

 まず第一に、時間経過が分かりにくい。
 開戦前、陸軍歩兵隊が海軍省に向けて銃を向ける事件から映画は幕を開け、独ソ不可侵条約の締結、三国軍事同盟、真珠湾攻撃、ミッドウェイ敗戦、山本五十六戦死までを描いてゆくが、それらがどの時間的に離れているのかが描かれない。
 ところどころ、食料が配給制になったとか、東京空襲の話を挟んで、時間経過があったことは表現しているのだが、かなり弱い。
 そのため「徐々に追い詰められてゆく」感が出ない。

 第二に、登場人物の描写が弱い。
 たとえば、米内光政海軍大臣。彼は途中まで、開戦に賛成しているのか反対しているのかもよく分からない。(劇中内描写に限定する)
 そのため、山本五十六を海軍省から連合艦隊司令長官に移動させた真意が分からない。(「現場を知らんの軍人官僚」という台詞で、開戦に反対しているのが分かるが、それも開戦後の描写。しかも彼が現場を知っているという直接の台詞もない)

 参謀の黒島亀人、山口多聞第二航空戦隊司令官も、台詞や情景描写を使って説明しようとしているのは分かるが、あまり上手く行っているとは思えない。

 第三に、映像の弱さだ。
 CG や模型、オープンセットを駆使してかなりがんばっているのは分かるのだが、そこには限界が見える。
 大海原を進む艦隊。その甲板上には誰もいない、という「比較的良くある」駄目描写に始まり、「そこを手を抜くから本物っぽく見えないんじゃね?」という部分が沢山出てくる。

 これまでの戦記物とは違う路線を選び、「人間や、当時の世情を通して現代を見つめなおす」という作りはわかる。
 その意欲は伝わってくるし、けっこう (まったく期待していなかったこともあって) 上手く行っていると思う。
 けど、まだ、いろいろと足りないなぁ。

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