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監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:マリオン・コティヤール/マット・デイモン/ローレンス・フィッシュバーン
2011年/米/106分/松浦美奈/☆☆☆

批評 脇の甘さがもったいない

 未知のウィルスによる世界危機を描いた作品。

 エボラ熱が騒動になったときに、ウォルフガング・ピーターゼン「アウトブレイク」が作られ、バイオ兵器の脅威が出てきたときには、小松左京「復活の日」が作られた。
 これらの作品とは異なり、この作品は「現実にありうるシナリオ」として未知のウィルスによるパンデミックを描いている。

 のは良いのだが、いろいろと問題尽くめだ。

 物語は、パンデミックに直面し、それに立ち向かう CDC の医師や WHO の調査チーム、病気で妻と息子を失い、残った娘と共に危機に立ち向かう父親など、複数の視点、複数の軸で危機を描いているのだが、これにより、事象は立体的になったが、どの軸も弱くなっている。
 豪華な役者陣でそれを支えているのは分かるし、それはある程度の成功を収めているが、たとえば伏線の回収が出来ていない部分があまりにも多い。
 ウィルス感染の最初を探し出す調査で、感染一号と思しき女性を発見。
 彼女が、「その場所に来る前の行動」を調べると口にはしているが、調査された形跡は無い。
 ウィルスの培養に成功した博士のその後はどうなったの?
 カナダで「たいしたこと無いだろう」と言っていたオバハンのその後は?
 亡くなった妻の遺体を、火葬したくない (文化的に土葬。ただし、ウィルス感染が疑われる時は火葬するべき) と言っていた話はどうなったの?
 等、中途半端な部分があまりにも多い。

 それに拍車をかけるのが、洋服だ。

 たとえば、研究を指揮する医師。
 彼は最初から最後まで、パリっとしたスーツに身を包み、まったく疲労を見せずに精力的に活動を続ける。
 ワクチン研究の最終段階で、いろいろと手順をすっ飛ばす医師。
 彼女は、父親が現場で踏ん張り、最終的に感染するという状況下におかれるが、やはり、真っ白な白衣を着て、髪の毛を乱すことも無く、背筋を伸ばしたまま仕事を続ける。

 “ボロボロになっておいつめられる現場”が、通り一遍のせりふと、増加する患者の描写だけで描かれている。
 社会インフラが崩壊しつつある状況下で、そんなに、服を綺麗に維持できるの?と、ついつい思ってしまう。

 もうちょっと登場人物を絞って (登場人物を一人に纏め上げる等、いろいろと方法はあったと思う)、さらに深作欣二「復活の日」で描かれた、“崩壊する医療現場”“山積みにされた遺体を火炎放射器で焼く”などの異状事態 (土葬のシーンを対比させれば、観客にものすごい衝撃を与えられるシーンになったと思うのだが) を直視させる描写を入れ込めば、もっともっと面白い作品になっただろうに。

 もったいない仕上がりであった。

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