ミス・ポター
監督:クリス・ヌーナン
出演:レニー・ゼルウィガー/ユアン・マクレガー/エミリー・ワトソン
2007年/英・米/93分//☆☆☆
批評 足りないのは、そう、一振りの塩
「ピーター・ラビット」の作者として知られるビクトリア・ポターの半生を描いた物語。
才能のある、意思の強い女性が、才能と意思の強さで生きて行く物語にしかなっていないのが残念。
挫折らしい挫折が描かれることはなく、最愛の人をなくし、悲しみの淵においこまれても、半ば勢いで回復してしまう。
彼女が、その絵の才能を磨く過程。
その強さを手に入れるまでの成長。
そうした、人間的背景がほとんど描けていない。
また、20世紀初頭の英国という、女性が一人で生きて行くのがまだまだ難しかった"時代"を描写することも、成功しているとは言いがたい。
けっして悪い出来だとは思わない。
けっしてつまらない映画だとも思わない。
画はきれいだし、編集やカメラもしっかりしている。
役者はいわずもがなの安定感。
脚本も、けっして目を覆うほど酷いものではない。
たが、その細さは遺憾ともしがたかった。