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バットマン ビギンズ
監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール/マイケル・ケイン/リーアム・ニーソン
2005年/米/140分/石田泰子/☆☆☆☆

批評 バットマン“新生”

 尻すぼみになってしまった「バットマン」シリーズの映画を立て直すべく、いままでを忘れて作られた完全新作映画。
 つながっているように見える部分もあるが、実はつながっていないのも面白い。

 おふざけ映画だった、後ろ2作のような愚行は犯していない変わりに、人間の二面性を、ダークファンタジーの中で描いたティム・バートン的な面白さも無い。
 そこにある面白さは、初期 007 に通じる、リアリズムの中に最低限の嘘を介在させることで発生するものだ。
 近年では「スパイダーマン」も、この手の面白さをもった作品であった。

 もっとも、「スパイダーマン」と比べると、アクションシーンでカメラがやたら寄っていて面白くないとか、「スパイダーマン」に続いてヒロインが可愛くないという欠点もある。
 バットマンの周りをリアリズムで埋めすぎて、やや面白味がなくなっている部分もある。カーチェイスなど、カメラワークとの相乗効果でものすごくもったいないシーンになってしまっている。

 しかし、バットマンが、“バット”=“蝙蝠”である理由に始まり、人が闇と対峙し、誰もが抱える闇と、どう戦うのかを、娯楽映画の範囲で可能な限り描いた脚本は秀逸。
 また、周りを演技派で固めたキャスティングも最高に上手くいっている。

 007 の Q のごとき役を、余裕たっぷりに演じているモーガン・フリーマン。
 英国執事を、その貫禄のままで演じるマイケル・ケイン。
 極めてまっとうな警察官を、普段の、多くの役とは対極に地味に真面目に演じるゲイリー・オールドマン。
 意地の悪い、嫌らしい企業人を演じるルトガー・ハウアー。

 抑制の効いた、不気味な悪役を演じるリーアム・ニーソンは...ダークサイドに落ちたクワイ=ガン・ジンにしか見えなかったのでともかく、脚本の合間合間に見られる役者のアンサンブルも十分な見ごたえだ。
 このアンサンブルを見るだけでも価値のある映画であると言えるだろう。

 同じスタッフ、同じキャストなら、続編も楽しみだ。


蛇足
 この映画、実は深読みすると面白い。
 背徳の町である“ゴッサムシティ”を、ソドムとゴモラだと考える(性的な匂いがしないので、この想定は無理があるんだが) と、バットマンと影の考え方の違いが、そのまま仏教と基督教の考えに直結する。
 すなわち、悪は「滅ぼすべし」という基督教と、「改心させるべし」という仏教の違いだ。

 この構図そのものはよく見る構図だが (やや極端だが、「逆襲のシャア」のロンドベルとネオジオン、-建前だが- の考え方も同じ構図)、面白いのは、これが西洋人 = バットマンが仏教的な考えを振りかざし、東洋人 = 渡辺謙が基督教的考え方を振りまいていることだ。

 まぁ、こんな事、制作サイドが考えているとは思えんけどな。

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