ザ・セル
監督:ターセム
出演:ジェニファー・ロペス/ヴィンス・ヴォーン/ヴィンセント・ドノフリオ
2000年/米国/109分/☆☆☆☆
批評 極彩色の悪夢
犯人は、誘拐した女性を40時間監禁し、時限装置を使って水死させる。
最後に誘拐された女性は、まだ生きているが時間の問題。彼女の場所を知る犯人は逮捕されたものの、脳障害により永久に目を覚ます事はない。
犯人の精神世界に入り込み、彼の言葉を聞き、彼女の居場所を探し出す。というのが全体のプロット。
犯人の精神世界というのが、その性質上象徴描写の嵐。これが狂気に満ちた美しい世界。極彩色に満ち溢れた狂気の世界。
こういうのは映画の得意技。文字では表現できない表現。
ビジュアル的にラスト、主人公の精神世界に犯人を招き入れるシーンの象徴描写などは、見ていておどろいた。
後光までさす主人公は、聖母マリアの格好をしている。にも関わらず色が黒ではない。こうした描写の巧さね。
監督は、CM 出らしいからその経験なんだろうけど、一瞬のインパクトというのが非常に強い。
けど、物語がそれに追従できていない部分がある。
一番大きいのは、物語の中での時間的な制約が大きい割にそれが生かされていない。“後何時間”みたいな台詞が結構出てきているだけに、それは残念。