貴殿は
1999年5月2日以来
Counter
人目の挑戦者だ

表  紙

更新履歴

新 日 記

全映画批評

映画批評・壱
2015年版
2014年  2013年
2012年  2011年
2010年  2009年
2008年  2007年
2006年  2005年
2004年  2003年
2002年  2001年
2000年  1999年

映画批評・弐

最低映画への
有罪判決

その小屋
どうだった?

徒 然 草

掲 示 板

ユリョン(東京国際ファンタスティック映画祭2000にて)
(Phantom , The Submarine)
監督:チェ・スンジェ
出演:チェ・ミンス、チョン・ウソン
1999年/韓国/103分//☆☆☆☆

批評 潜水艦映画の秀作

 物語・演出など、全体的に「沈黙の艦隊」(日本コミック)「クリムゾンタイド」(米国映画)のパクリ。
 けど成功してるから良し。
 極秘裏にロシアから原子力潜水艦と核弾頭を買い取った韓国。それは日本で極秘建造中の原子力潜水艦対策として配備された。
 乗組員総ては、書類上は死亡した人間ばかり。彼らに名前はない、あるのは番号のみ。
 任務内容を艦長しか知らぬまま出向した彼らは、やがてその任務が世界中の目に筑波所で自沈することであることを知る。
 艦長を殺害し、本国に対する警鐘として日本の核攻撃を企てる副長。
 己の信ずる国家のため、己の信念のため。深い海の底で、男達の戦いが始まる。

 「シュリ」の時もそうだったが、まず全体に流れるのは韓国という国の建たされている立場と、その閉塞感。その歴史的な背景。そうした社会情勢と、そこに立つ不安定感。
 日本人が見るときに、なによりも忘れてはいけないのは、その状況を作り出してしまったのは日本人であるという事実だろう(この件に関して“もう昔のことだろ”などというのは間違っていると私は考える、まだ続いていることなのだから)。

 ほとんど全編が潜水艦の中で進行します。圧倒的に閉塞的な状況で、しかし観客をあきさせないのは、「U-ボート」や「天国と地獄」 ( の前半、権藤邸 ) でも使われたキャメラアングルを組み合わせて人間を見せるという手法によるもの。
 この辺りも古典的で有効な手法をしっかりと用いて、演出の手堅さを感じることが出来る。
 役者も上手い。主演の二人チェ・ミンス、チョン・ウソンは、きちんとした演技を見せている。ハン・ソッキュ(「シュリ」)もそう思ったけど、日本の役者では激減しつつある映画向きのきちっとした演技が出来る役者。今後注目したいね。

 主人公を単純に正義にしなかったことは「シュリ」との共通点を見ることが出来るし、反乱側の言う“日本の歴史的罪”みたいなものは、もっと日本は真剣に受け止めねばならない問題なのだろう。
 その辺り、日本ではあまり認識されていないのが不安といえば不安。見て「日本ばかりなんでこんなに悪役なんだよ」とか思う馬鹿野郎が出てきそうなのがね。

 そうそう、作品中で日本は極秘に原潜を開発しているという描写があるけど、ちょっとその根拠が弱いな。
 高速増殖炉「もんじゅ」なんて事故続きだぜ?原子力実験船「むつ」だって、原子炉を安定動作させるまえに耐久年齢の問題で廃船処分になってることも、日本の原子力開発が遅れまくっているという事実になる。
 それと、一隻の攻撃型潜水艦撃沈された海上自衛隊が複数の潜水艦を派遣してきてとっとと雷撃戦始めるけど、このあたりも自衛隊法と、日本のフ抜けた外交ではリアリティーに欠ける。おそらく海上自衛隊が出張ってくる前に、治安維持の名目で米軍の潜水艦隊が出てきて...  その辺りのリアリティーを出してくれた方が嬉しかったな。あんなに優秀で即効性のある国家としてかかれると“そんなに買いかぶるなよ、しょせん成金王国日本だぜ”と思ってしまう。

 韓国映画は今、過渡期だと思う。非常にパワフルな作品が多いように感じるが、同時に荒削りな部分も多いと思う。この映画も、映像的にはまだまだだと思う部分が多い。それでも面白いのは、やはりパワーがあるからなんだろう。
 なんだかんだ言ってきたが必見度高し!韓国で日本が犯した過去の罪。それを十分に理解してからであることは大前提でな。


戻る