009 RE:CYBORG
監督:神山健治
出演:宮野真守/小野大輔/斎藤千和
2012年/日/103分/☆☆
批評 炸裂、押井ズム
長い台詞で薀蓄を語る。
宗教的要素をたぶんに入れ込む。
まさに、押井ズムっ!!
監督は神山健治だが、スタッフロールに名を連ねる押井守の影響を感じずにはいられない仕上がり。
そして、問いたい。
石ノ森章太郎「サイボーグ 009」を、作りたくて作ったのか?と。
9人のサイボーグ戦士、それぞれの見せ場を作ることが出来ていないこの作品は、多人数ヒーロー作品としての、最低限のハードルをクリアできていないとしか思えない。
後半登場しなくなる 007 はまだ良い。
少なくとも前半、その能力を使っての見せ場がある。
悲劇的なのは 008。
登場シーンの短さもさることながら、サイボーグ戦士としての活動は、一切、無い。
考古学者としての見せ場も若干あるが、戦闘力重視の 004 に「結論を急ぎすぎている」などと言われる有様。
えぇ〜。
登場人物の性格豹変も過激だ。
ムードメーカーだった 007 はダンディなシリアスキャラに変貌、フランソワーズはお色気キャラに、そこまではまだ許せる範囲かもしれない。
が、元ギャングだったはずの 002 が「わがぁっ!!いだいなるぅっ!!がっしゅうこくがぁっ!!」と話し始めるにいたり、頭が痛くなってくる。
007 と 008 が早々といなくなってしまう関係上、全員そろって、ひとつの戦いを切り抜けるつくりにもなっていない。
ギルモア博士に作戦を尋ねながら、まったくその指示に従わない 009 の支離滅裂さ、こうなればきわめて些細な問題であるといえよう。
数多くの問題の末に思うのは、これ、別に「サイボーグ009」じゃなくて良いよね?という事だ。
逆に言えば、そう観客に感じさせた時点で、駄目だとも言えよう。
なんだかなー。