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監督:ロベルト・ベニーニ
出演:ロベルト・ベニーニ/ニコレッタ・ブラスキ/ジャン・レノ
2005年/伊/114分/吉岡芳子/☆☆☆

批評 主人公の行動を全肯定出来るかどうか・・・

 毎夜の夢に出てくる女性を追いかけ回す主人公。
 その愛しい彼女が、イラクの戦渦に巻き込まれ、死の間際にいるという。
 彼は、取るものもとりあえず、イラクに向かう。

 夢の女を追いかけ回す主人公はストーカーまがいの変人にしか見えないが、演じるロベルト・ベニーニが、騒々しくしゃべりまくり、嫌みを (あまり) 感じさせないようにしている。

 現在なお混乱の続くイラク戦争を背景にした映画だ。物語のほとんどは、2003年のイラクなので、まさに戦争真っ最中の。(今も真っ最中にしか見えないが)

 この背景を持ったことによって、国家間が争う背景で、そうしたこととは関係なく、国籍や人種を超えて協力し、生きている人々を描く対比構造になっているのは良いのだが、この対比があまりうまく行っているとは思えない。

 それは、主人公があまりにも手段を選ばずに、他の人をだましてでも彼女のために努力してしまう姿勢にある。
 国際赤十字のボランティアを騙してイラクに入り、彼女のためにおしゃれしたいからと靴屋を騙し、バイクが壊れたからとそこにいたラクダを盗むのを、たいした悪意もなく、いやみったらしくもなく描かれると、なんというか、自分の愛のためには他の人の犠牲は仕方ないとでも  これでは、国家が自分の都合のために他の国家を犠牲にしているという、対比構造の網一方が肯定されてしまう事になる。

 この、上手く動作しない対比構造は、イラク人 (ちなみに演じているのはジャン・レノ。彼がイラク人に見えるかどうかは、ここでは問わない) とイタリア人の親友による会話に出てくるバベルの塔の物語を、映画全体の中で効果的に活かすことが出来なくなってしまうという結果  バベルの塔建造により神の怒りに触れた人間は、共通言語を失い世界に散らばり、そして争いを始めた、というこの物語は、本来は美しい天空の月と地上の戦火の対比、そして異なる人種だが親友の男たちの会話、さらには打ち倒された独裁者の像と、その破壊された首という映像  実際、シーンの完成度はきわめて高い。
 だが、映画全体としては、このシーンの持つ意味が十分に活かされているとは思えない。

 もうちょっと、主人公の行動を正してやれば、それだけでもう一段面白くなったんじゃなかろうか。

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