キサラギ
監督:佐藤祐市
出演:小栗旬/ユースケ・サンタマリア/小出恵介
2007年/日/108分/☆☆☆☆
批評 スタッフロールのダンスでとどめを刺される面白さ
B 級アイドル如月ミキが自殺してから一年。
追悼にあつまった5人のファンは、その自殺の不審さを話すうちに他殺の可能性に行き当たる。
と書くとシリアスだが、実際にはコメディ。
「羅城門」形式のカットバック映画かと思いきや、実際にはカットバックの使用は抑えられた、ほぼ一部屋で進行する会話劇になっている。
元が舞台脚本という事もあって、「あ、舞台だな」と思わされてしまう部分があること、また物語を畳む段階で、見ていれば観客には分かることをもったいぶって引き延ばす事が数回あったのは減点だが、ほかの部分が、それらの減点を補う面白さを見せている。
決して広いとはいえない一部屋で進行する物語にもかかわらず、狭さを感じさせないカメラワーク。
最後まで失速しない演出。(パンフレットによると、ほぼ順撮りしたということなので、その効果も大きいと思う)
なによりも、短い時間でキャラクタを濃厚に説明するのに不可欠な、見事なキャスティング。
登場人物が、事実上5人しかいない作品で、キャスティングを外したらさぞかし悲惨な事になっていただろうが、これは見事だ。
たいして期待せずに入って、当たった映画は本当にうれしい。
こう言うことがあるから、映画館通いはやめられないと思わせられる一本であった。