放 浪 旅 行 記

SF大会アフターレポート
− 命 短 し 旅 せ よ 者 共 −

7月12日 [SF大会会前夜 (東京 -> 松江)]
 仕事終了後、速やかに作戦起動。今年も夏が来る。
 事実上の前夜祭とも言うべき寝台特急「出雲」の宴会騒ぎに合流する前に、各種買い物を済ませねばならない。
 DV テープ、カメラのヒルム、デジタルカメラの CF カード。予備の電池。宴会騒ぎは持ち込み企画なので、酒につまみ。食堂車は営業をやめて久しいから夕食に翌日の朝食も必要だ。

■20:45 [東京駅]
 食堂車の位置する5号車の乗車口に並ぶ。
 しばらくは一人で立っていたのだが、後ろに人が立つ。その人物の着ているシャツの胸元には、ジオン公国のエンブレム。
 SF 大会関係者はとても分かりやすい。乗車後、ただちに食堂車を占拠し宴会開始。

 宴会では、某作家二名もいた。しかし、ここでは参加していた人々の名誉の為にも匿名で行こう。

 話されたここのネタを書くのはあまりにも手間なので省略するが、大きなネタをいくつか。
 著作権が著者死亡後50年で切れることを利用し、死んだ人間の体細胞からクローニングで復活させて金をせしめるSFミステリー小説は創れるか?
 最大の問題は、遺伝子的に同一というだけで同一人物だと断定させる方法をどうするか?という点に集約された。
 遺伝子情報の巨大なデータベースがないといけないし、死亡判定の出ている人間が実は生きていたということをどう納得させるか、あるいはクローンだと判明したとして、法はどう出るか?なども考えなきゃならんしな。現行法ではあきらかに対処できないだろうから、そのあたりのシミュレーションは面白いかもしれん。

 寝台特急の使用されていない食堂車の内装を見回した後に突如として。
 「内装が一昔前のラブホテルみたいじゃないか?ひょっとして寝台列車の振動から回転ベットは生まれたのか!?」
 あぁしかし何と言うことだろう。私は知っていたのだった。
 「回転ベッドって開発者が判明していたはずですよ」
 私の記憶が確かならば、鈴木由加里「ラブホテルの力 現代日本のセクシュアリティ」というラブホテルをテーマにした社会学的考察の本に載っていたのだ。
 その本によると回転ベッドは、ラブホテルの遊園地化という流れの中で出てきたらしい。
 ちなみに現代では風俗営業法の改訂により稼動状態の回転ベッドはほとんど存在しないそうだ。
 とか言う話をする。
 言われてしまった。「むぅ、もう先に偉そうにまとめてしまったヤツがいたか」。
 ちなみに著者は女性だったはずである。まだ買えるはず。

 軌道エレベーターをテーマに、なにかアイディアはないだろうか?という話で盛り上がり始めれば即座に様々なアイディアが出た。
 最終的にビルの側面を登る奴がいるんだから、きっと登ろうとするヤツが出る。というアイディアが生き残り、そこから「筋肉番付だ!!規定量ギリギリの酸素をあたえて軌道上まで自力で登ってこい!!」ってのはどうだろうか?もちろん誓約書に「死んでも文句は言いません」って書かせて。
 と、私がアイディアをぶちまけると、周囲の方々曰く。
 「SFファンって、なんで最後は鬼畜に持って行くんだろうねぇ」
 ...鬼畜か!?まぁ、鬼畜か。具体的に「筋肉番付」とか言っちゃったもんなぁ。

 ここ数年減少を続け、大会参加者の平均年齢の高齢化を続けている為か、けっこう語られることの多いSFファンを多くする為の手段。
 「20世紀の SF は難しいことを言いすぎた。21世紀はもっとヌルイ小説で一般人を騙せば SF を広めることが出来る。だってバトルロワイヤルみたいなヌルイ小説が一般に誉められるんだもの」。
 問題発言だ...
 最後にゃ「どっかの作家みたいに喧嘩を吹っかけてはイカン!!」(SF マガジン誌上で数年前に繰り広げられた SF 冬の時代論争を参照のこと)とか言い出すし。
 問題発言だ...それに馬鹿にするのはイカンと思う。
 ファンを増やすには、やはり幼少の頃から洗脳せねば。どっかの出版社で小学生向けの SF シリーズを新しく出さないか?
 EEスミス「スカイラーク」やヒューゴー・ガーンズバック「ラルフ124C41+」なんかを小学生向けに簡単に書かれたやつで読んだけど、面白かったなぁ。
 あの頃に光瀬龍「作戦NACL」(ジュブナイルSF。2001年大会のオークションで落とせなかったのが悔やまれる) なんぞを読まなければその後の読書癖も SF 大会に行くことも無かったんだろう。そういう風に洗脳すりゃ良いんじゃないの?と思いつつ話す。

 他にも、仮面ライダーの法則に従い、「龍騎」はもちろん、「クウガ」や「アギト」もみとめない派と、私の提唱する「面白ければそれで良い派」との論争や、「戦隊モノの面子が奇数なのには面白いのが多いのでは?」論争など、正気とはとても言い難い論争が繰り広げられた。
 なお、食堂車の片隅でただ一人堅気の方がおられたのだが、曰く
 「出雲の食堂車は、普段は私一人だけなのになぁ、賑やかなのはいいなぁ」
 なんでも仕事でしょっちゅう使っているのだが、普段は食堂車には一人しか乗っていなくて、かなり寂しいんだそうだ。SF 大会の参加者は宴会上等だから賑やかだもんなぁ。
 (世間ではネクラの集まりで宴会なんて絶対に無い!?と思ってる人もいるらしいが)
 大変なご迷惑をおかけしたような気もするが、そう言っていただけるのは幸いだ。




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( S F 大 会 当 日 )