最低映画への有罪判決
第弐拾六回「パールハーバー」を斬る・後編
死んだはずのレイフ君、いきなり帰ってきます。
「おらぁ、どーばーで撃墜されて、さまよっていただ」
の言葉で、すべてを解決してしまいます。
一番ビックリしたのはイヴリンちゃん。そりゃぁそうでしょう。
ダニー君を虜にすることに成功したと思ったら、レイフ君が復活したのですから。
このままでは貞操を守れなかったふしだら女になってしまう!!とパニックに陥るイヴリンちゃん。
そこにダニー君登場。イヴリンちゃんが振り返った瞬間、レイフ君
「そうやったんかぁぁぁぁぁ!!不潔やねん、ちかずかんといてや!!」
教訓 : 彼女と親友が見詰め合っていたら疑え
おそるべき感のよさです。
イヴリンちゃんを巡って殴り合うレイフ君とダニー君。男の拳が熱くぶつかり合います。
殴り合いに疲れ、やがて二人は永遠の眠り...には付きませんが、とりあえず寝てしまったようです。
運命の12月7日。
米軍の不甲斐なさを画くために、あえて馬鹿に書かれた日本軍が出撃。
いくらなんでも、あの笛を用いた音楽はやめて欲しいのですが、製作意図に基づき仕方なかったのでしょう。きっと製作者も心の中で日本に謝罪しているに違いありません。
教訓 : 製作意図のためには心を鬼にせよ
雲の上を進入してきた日本海軍航空隊が、次のカットではなぜか海面ギリギリを進入してきているなど、素晴らしい編集は感涙の涙を誘います。
低空で進入してくると眼下では、少年野球が繰り広げられ、洗濯物は干し終わり、女の子も背中にあゆリュックを背負って背中に羽根のついた格好で走りまわっています。しかし兵士のほとんどは寝ている時間です。
どういう時間なんでしょう?ちょっと理解に苦しみます。実際の歴史の時間とは差異があるようなので、ここにもきっと製作意図が隠されているはずです。
ハワイ。ハワイ。日本の観光客で埋め尽くされているハワイ...
教訓 : 真珠湾には時間の歪みがある
景気付けの花火のような爆音で目覚めるダニー君とレイフ君。そしてイヴリンちゃん。ところで彼女はなんで外で寝ていたんでしょうか?
さすがに私にもこの意味は分かりませんでした。まだまだ未熟です。
わらわらと降りかかってくる日本軍。爆弾一発で戦艦を大破させるなど、もはや無敵です。対する米軍は自軍艦にむけて機銃掃射するという恐るべき行動に出ます。
教訓 : おちついて、回りを見てから、攻撃せよ
そんな無敵の日本軍に反撃を加えるべく、レイフ君とダニー君は車に乗って基地へと向かいます。
そんな二人を、燃料タンクを機関銃で打ち抜いて爆発、炎上させたり零戦が襲います。
走行中の車に機銃掃射。あぁ哀れレイフ君とダニー君はミンチになってしまい...ませんでした。なぜかフロントガラスが割れただけです。偽装戦車だったのでしょうか?ちょっと屋根のないオープンカーですけど。
レイフ君とダニー君が乗っているのです。なんでもありです。
ここで私はさまざまな考察の結果、ひとつの二つの結論にたどり着きました。ドライバーのダニー君がニュータイプで弾をよけていたというのが当初の主流だったのですが、その後の展開から、レイフ君がジェダイの力を手にしており、フォースで車を守っていたのではないか?と思っています。
教訓 : フォースを使え
フォースに守られしオープンカーはなんとか飛行場に到着。出撃前にレイフ君はみんなに教えてあげます。
「JAP の零戦は、星条旗の P40 よりはやいでな、気ぃつけんしゃい」
初めて闘う零戦でも、飛んでいる姿を見ただけで性能が分かるレイフ君。さすがフォースの使い手は違います。きっと目で見たのではなく、心で感じたのでしょう。
戦闘のやり方も素晴らしく、台詞に反して P40 で零戦に後ろから食いつき次から次への撃墜して行きます。
あの速度と強さは、フォースの加護があってこそなのです。
教訓 : ジェダイは復讐する
そんなこんなで日本軍は撤退して行きます。
やられっぱなしで怒り浸透の合衆国大統領曰く。
「ワシに不可能はない。右の頬を殴られたら、相手の頭を勝ち割ったれ!!」
むちゃくちゃです。
そのむちゃを押し切って東京への空襲を決定。
爆撃機を空母から発艦させるという強行案。まかされちゃった爆撃隊は、機体重量を軽減し発艦するための努力を始めます。
司令官曰く
「ギリギリ発艦できるはずや!!」
と叱咤激励します。
訓練に向かうレイフ君。ダニー君といっしょにイヴリンちゃんと別れなければなりません。
「なんで、ダニーやねん。なんであいつやねん」
レイフ君。どうやらダニー君より自分の方が良い男だと思っているっぽいです。ナルシストなのかもしれません。
「お腹の中に彼の子供が」
「そうやったんかぁぁぁぁぁぁぁ」
...納得して良いのでしょうか?なんでそういう関係になったのかが重要だと思うのは私だけなのでしょうか?私には理解できません。
私なら浮気した時点で相手を許しませんが。
教訓 : イヤな質問は煙にまけ
そんな馬鹿エピソードを挟みつつ訓練を経て、とうとう作戦開始目前です。出撃開始前に司令官曰く
「俺たちゃ、決して民間人を傷つけちゃなんねぇ!!」
という指揮官の言葉に、さすがに私も怒りを感じました。「ウソつけ!!」と。しかし、そう、この言葉にも重大な意味が隠されていたのです。
教訓 : 勝てばなにを言っても問題なし
この傲慢を戒めるために、あえてこういう間違った台詞を吐き出しになられたに違いありません。製作者、やはり心を鬼にしているようです。
我が子を谷に突き落とすライオンのような心境でしょうか?
さて、発艦する爆撃機。するとどういうことなのでしょう。
ギリギリ発艦距離だったはずなのに、甲板先端までだいぶん余裕をもって上がって行きます。さすがにレイフ君とダニー君の上官の言う台詞。なんでもありありです。
飛行を続けると
「もうすぐ東京だがや!!」
という台詞と共に現れる緑の大地。
いつの間に東京はこんな緑の大地になったんだろう?と疑問に思っていました私は、そこで二つの名前を思い出しました。
「新東京国際空港」「東京ディズニーランド」。
そうです。両方とも実際には千葉県です。当時はなかった、なんていう細かいことを気にしていてはいけません。房総半島の南の方は緑一面ですので問題なしだと思い込むのです!!それにしても緑すぎるだろとか思ってはいけません!!緑の大地だったはずなのに、次の瞬間工業地帯の上を飛んでいるのもきっと気のせいです。
東京上空での激烈な対空砲火。
一機、また一機とやられて行く味方機....らしいのですが、撃たれている描写のみで撃墜された描写がありません。あんまり逼迫した感じを受けないのが欠点です。
それに、第一回目の東京空襲で、こんなに苛烈な対空砲火があったとは思えない...はわわわわわ、いえいえこれはあくまでも映画です。だからこの描写にはなにか意味があるのです。
あの時闘った日本軍の兵士達に、君たちの攻撃はこれだけの脅威だったと伝えようという暖かきメッセージなのです。
教訓 : 勝者は敗者にやさしく
製作意図に反してる?いぃえ、米軍を勇猛果敢に描くことが製作意図なので、ここでは日本軍を強く書いたほうが効果的なのです。
さて、なんとか東京空襲を終えたものの、燃料がすでにない!!と機内はパニックに。
一生懸命機体内の燃料タンクを探しますが、一缶を残してすべてカラです。
少しでも機体重量を軽減させるために、空のタンクなど捨てろと思うのは私だけでしょうか?そもそも、なんで空のタンクをそんなにきちんと並べておくのでしょうか?レイフ君が機長なだけになんでもありです。
そんな状況が大統領の耳にも入ります。曰く
「そんな...彼らに神の御加護を」
軍部に不可能だと言われた作戦を、自分の権限で無理矢理実行させたことを忘れてます。
なんとか陸にたどり着いたものの、燃料切れで落ちるレイフ君の爆撃機。後を追ってダニー君の爆撃機も落ちます。
そこにいた日本軍と交戦状態に。
重量軽減のためにあらゆる物を捨てた機内には、なぜか拳銃と弾は残ってます。
その銃でなんとか日本軍を撃退したものの、ニュータイプでもなく、フォースの加護もなかったダニー君は壮絶な戦死を遂げます。
ダニー君戦死の報を受け取って悲しみに暮れたような振りをするイヴリンちゃん。
なんだか彼の死亡で得をしたのは彼女だけのように思います。だって、レイフ君が生きていたことで揺らいだ「悲劇のヒロイン」の看板が、ダニー君の死亡で戻ってきたんですから。
ここで悲しんでみせて、またレイフ君を...というほくそ笑みが時々見えるのはうがちすぎなのでしょうか?
まぁなにも考えていないレイフ君を陥落させるのはそう難しくないでしょうから、笑みが零れるのもしかたないというもの。
案の定、本国に帰ったレイフ君は、イヴリンちゃんとよりを戻し幸せに過ごしましたとさ。
教訓 : 男は馬鹿である