天国と地獄
監督:黒澤明
出演:三船敏郎
日本


物語
 靴会社の重役の元に、子供を誘拐したという電話がかかってくる。
 しかし、その直後子供が姿を現す。いたずらだと思い、激怒するが、再びかかってきた電話で、犯人は愉快そうに言う「子供を間違えた、しかし要求は変わらない」。犯人は運転手の子供を誘拐してしまっていた。
 警察の必死の捜査にも関わらず犯人は用としてしれない。身代金を払えば、自分は会社を追い出されるという極限状態の中、彼は犯人に身代金を払うことに同意する。
 「特急こだまに乗れ」犯人の要求はそれだけだった。いったいどうやって身代金を受け渡そうというのか。警察と犯人の息詰まる攻防戦の果てに、犯人はまんまと身代金を奪って行く。
 警察の反撃は間に合うのか?


批評
 犯人像に若干の問題がある物の、そんなことを見ながら考えているヤツがいたらそれはそれですごいです。知らなければ、または見終わった後全体を再構成する作業をしない限りそんなことに気がつく人はいません(私も、ある本を読むまで気がつきませんでした。いわれてみりゃそうだなというレベルの物です)。
 前半戦はすべて家の中、それもほとんど一つの部屋しか出てこないため若干の閉塞感がありますが、カメラが動くのでそうそう意識することはないでしょう。なによりその緊迫した画がそんなことを感じさせてくれません。
 中盤戦、神奈川県の地理を見事に生かした子供の絵や、電話の後ろに記録された音のヒントはさすがです。
 ちなみに、「踊る大捜査線 劇場版」で使われた”煙突から色の付いた煙”というのはこの映画が元ネタ(青島が”天国と地獄だ”とつぶやくのはそのため)。そのカットもまた効果的に出てきます。感動さえおぼえるくらい見事です。
 後半、犯人が分かってから警察の包囲網が一気に閉じられて行く様はまさに見事!
 見てない人は今すぐビデオやにGo!


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