D坂の殺人
監督:実相寺 昭雄
出演:真田 広之/嶋田 久作
日本


物語
 だんご坂の古書店の女主人が殺された。
 犯人として浮き上がってきたのは、同じ店の店員。
 すべての証拠は彼が犯人であることを示唆していたが、検察はいまいち納得していない。最近導入された心理試験の結果も犯人であることを裏付けていた。しかし、そこに来て、ウラの世界で出回っている春画の贋作家が犯人ではないかという疑いが出る。
 しかし、彼の心理試験の結果は無罪。
 迷った検察は、商売を再開した名探偵、明智小五郎にすべてを任せる。


批評
 さて、実相寺の明智(乱歩?)第二作である(実は一発目の「屋根裏の散歩者」は見てない)。
 この映画では、原作の「D坂の殺人」だけではなく、「心理試験」を組み合わせることにより、物語の膨らましをはかっており、それに成功していると言えます。
 さて、「帝都物語」で嶋田のブキミさ&コワサ(ほめ言葉)を見事に引き出した実相寺が、嶋田の新たな面を引き出したとも言えます。
 そもそも、明智の登場シーンが強烈です。古本に埋もれて何もせず火のついたタバコを手にして惚けてる。
 これだけで完全に絵が完成しているんだから恐ろしい。
 さすが実相寺!というより、実相寺&嶋田!!やってくれるぜ!!という気分になります。
 そして真田の見せるアヤシイ犯人像が、うまく言えませんが世紀末的です。
 乱歩の見せるアヤシイ文学世界を、これまたアヤシク映像化しています、一見の価値あり!!


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