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劔岳 点の記
監督:木村大作
出演:浅野忠信/香川照之/松田龍平
2008年/日/139分/☆☆☆☆

批評 映像だけで、139分“持つ”という驚異

 「なんで CG ありきなんだ、本物撮っちゃいけないんだ」という木村の叫びは、驚異の映像作品を生み出した。
 この映画は、間違いなく驚異だ。
 ピントも視界深度もゆるいビデオや、解像度の低いハイビジョン撮影では絶対に取れない35mmヒルムの威力を、これでもかと見せつける。

 空撮さえ使わなかったという映像により生み出される”視点”の低さがそこに加わり、美しく、厳しく、激しい山々の映像は息を呑むほどに美しい。

 しかし、その美しさ、すばらしさは、同時にそういうことが分かる人間でなければ分からないという欠点も併せ持つ。
 フィルムの解像度、ピントの合い方。
 大引きの映像で、芥子粒のような人間がひたすら斜面を登るシーンの迫力。

 残念ながら、こうしたシーンは「映画になれた人間」無いし「映像を分かる人間」にしか通じないのも確かだ。
 TV の映像になれた人間には「NHK スペシャル」くらいの感覚しか浮かばないだろう。

 さらに、悲しいくらい脚本が弱い。
 緩急のない、ほぼ一直線の脚本は、物語としてはあまりにも面白味に欠ける。
 なによりも現代の“売れる”要素である、過剰なまでの説明が無い。
 必要以上に説明がない。素晴らしく不親切だ。そこは「予想」し「自らで考える」事が求められる、これもまた、極めて「映画になれた人間」向け作品という側面を強くしてしまっているのではないかと思う。

 映像に酔いしれられること。
 映像が理解できること。
 脚本を、想像で補えること。

 この映画を楽しむには、これらの要素が必須だ。
 その意味で、この作品は映画玄人向けだと思う。
 だが、そうであるならば間違いなく、映画館で見る必要のある一本だ。

 おそらく、いや、断定しても良い。
 この映画、スクリーン以外で見てもまったく面白くない。
 圧倒的すぎる映像は、スクリーンで見なければならないのだ。

 ジャック・ペラン「WATARIDORI」がそうであったように。

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