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監督:君塚良一
出演:佐藤浩市/志田未来/松田龍平
2008年/日/118分/☆☆☆

批評 リアリティが無さ過ぎる

 犯罪加害者の妹を警護する、一人の刑事の物語。

 メディアに追いかけ回され、ネットに追いかけ回され、逃げ場を失う二人を描いているが、中盤以降、マスコミは存在感を失い、暴走するネットの正義感を描いている。

 抑制された演出と、社会派風の、抑制されたカメラワークが全編を貫いている割に、登場人物にあまりにもリアリティがない。

 いや、出世しか考えていない警察官は恐ろしいほどにリアリティがある。
 後先考えず、暴走した正義感で「加害者家族は死んで謝れ」と口走りながら、自殺した家族に向かって「死んで罪を詫びた、最後に善行をつんだ」と言わずに「警察何やってんだ」「ネット怖い」と狂った発言をする様は「本当に居そう」感が強すぎて空恐ろしいほどだ。

 だが、この二人だ。

 加害者妹も警護する刑事も、被害者の話をまったくしないのは不自然じゃないか?
 妹から加害者の情報を引き出すために、被害者の遺族を口実にしない警察官が本当に要るのか?

 後半に描かれるネット掲示板はもっと酷い。
 そして、それと引き換えに、まったくと言って良いほどメディアが出てこない。

 TV 局制作の映画で、大規模に「暴走するメディア」をかけなかったのは分かる。
 しかし、それは制作の事情であって観客には関係ない。

 そうして、全体構成の奇妙さと登場人物のリアリティの無さに比べたら、宿泊を目的とせずにホテルの客室に強行侵入するネット住民 (法律違反) や、無線駆動し続けるノート PC と電源なしで動くカメラ等、細部のリアリティの無さは、些細な問題であるといえよう。

 全体を貫いてしまったリアリティの無さをどうにかできていれば、あるいは大傑作になったかもしれない。
 そう思わされる映画であった。

 これモントリオール国際で脚本賞か。日本のネット住人は、こうして世界的に勘違いされてゆくのだろう。

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