アルマズ・プロジェクト
監督:クリス・ジョンソン
出演:イワン・シュヴェドフ/イナ・ゴメス
2007年/米/89分/野崎文子/☆
批評 酷すぎる・・・
ロシアのアルマズ宇宙ステーションが交信途絶後軌道を離れ地上に落下。回収されたブラックボックスには、衝撃的な内容が収められていた・・・
という内容だが、あまりにもリアリティがない上に作りが雑で面白くない。
アルマズ宇宙ステーションが、オーバーテクノロジーの固まり (なんと、回転による人工重力を生み出している!) だとか、誰もその存在を知らないが ESA (ヨーロッパ宇宙機関) は知っている等、基本設定の矛盾点はもちろんだが、物語上の問題から比べれば、それは、些細と言ってさしつかえない。
それほどまでに物語と映像が弱い。
「遊星よりの物体X」(「遊星からの物体X」でも無問題) が、「スピーシーズ」方式でどこかからかやってきた。その様子を「ブレアウィッチ・プロジェクト」方式で作った映画になっているのだが、簡単にいうと“寄せ集め”。
これで魅力的な脚本や映像を生み出すのはかなり難しい。
POV の映像を、宇宙ステーションの監視カメラを使う、というのは、この映画ならではかもしれないが、これがまったく上手く行っていない事も、これに拍車をかけている。
どうやら、監視カメラだけで撮るのは無理だと判断したらしく、なぜか乗員が持っているビデオカメラの映像を多用することになっているのだ。
結果的に、編集が入りまくり、その作為性が露見し、結果的にドキュメンタリ映像的な乱暴さが消失している。
監視カメラに向かって心情発露を始める搭乗員 (しかもみんな、別のタイミングで同じカメラに向かって) という奇っ怪な行動や、会話の途中でカメラアングルが変わる様など、興ざめも良いところだ。
問題の本質はそんな所ではないが、そういう部分が露見するほどに酷いのだ。
設定にリアリティが無く、脚本はあり合わせ、映像はつまらない。
なるほど、確かに“衝撃的”な映像体験であった。悪い意味で。