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イーグル・アイ
監督:D・J・カルーソー
出演:シャイア・ラブーフ/ミシェル・モナハン/ロザリオ・ドーソン
2008年/米/118分/林完治/☆

批評 細部が甘すぎて全部崩壊

重大なネタバレあり。

 人間の行動予想を、この作中の精度で予想できるのであれば、もっと効率的な方法がいくらでもあるだろう?
 という疑念を、見ながら観客に抱かせた時点でこの作品の負け。
 勢いよく最後まで駆け抜けられればまた違ったのだろうが、あまりにも元ネタが分かり安すぎてそこまで作品にのめりこめない。

 なんだか分からないがスパイに間違われて陰謀に巻き込まれる、という状況はアルフレッド・ヒッチコック「北北西に進路を取れ」だろうし、旅行中の子供を人質にとられて、という状況は、アルフレッド・ヒッチコック「知りすぎた男」だろう。
 ちなみにこの二本は、作品のあらゆる場所でパクられている。

 中盤で"声"の正体が明らかになり、その先の描写部分は「2001年宇宙の旅」・・・と書きたいところだが、主にデザインと話し方のおかげで Valve Software「Portal」(FPS / Windows) にしか見えない。
 隔離部屋の中での会話盗聴シーンは間違いなく「2001年宇宙の旅」で、システムを止める部分も「2001年宇宙の旅」。
 いつ「デイジー」を歌い始めるのかと心配になるほどだ。

 ほかにもいくつかの作品の影響がモロに見えるが、そんなことは多分重要ではない。
 築年数のいった建物の店に設置された防犯カメラさえネットワークにつながれている不自然さも、そのほか多くの技術的にできないことも、多分重要ではない。


 重要なのは、陰謀を仕掛けている側の頭の悪さだ。
 作中で描かれているレベルの行動予想が出来るのであれば、なぜ「作戦にロックをかける」という予想をしなかったのだろう?
 その予想が出来るのであれば、作戦を話さなければ良いだけなのに。

 ロックが外れた後も、無人機を使ってトンネルで打ち合いやる暇があるなら、無人機を使って議場もろとも吹き飛ばせばよいだけではないか。
 すでに犯人のでっちあげができる (FBI捜査官と海軍捜査官、そして主人公兄弟) 状況はそろっているのだから。
 その手が使えるのであれば、そもそも手がばれる「高性能爆弾強奪」も必要がない。
 無駄なことをやらなければ、それだけ作戦が露呈する可能性が低くなると思うのだが?

 ロックの範囲もよくわからない。
 最後のトリガーを引けないだけで、その準備は良いのか?
 準備のために死傷者がいくら出ても良いのか?
 制限をかけたからには、その制限を「いかにくぐり抜けるか」も慎重に設計して欲しい。物語的に必要だからと勝手に解釈を変えられる制限など、無いのと変わらん。

 「北北西に進路を取れ」と「知りすぎた男」をベースにしながら、ヒッチコック的サスペンスやミステリーを重視するのではなく、まったく異なる現代的アクション映画に仕上げてきたおかげで、元ネタが分かっていながら、それなりに面白く見えるのはせめてもの救いだ。
 これのおかげで、目を背けたくなるような完成度という状況だけは避けられているからな。

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