大停電の夜に
監督:源孝志
出演:豊川悦司/田口トモロヲ/原田知世
2005年/日/132分/☆☆☆
批評 あと二歩足りない
プロデューサーが「これはファンタジーです」と力説するのも大納得。
曇り空に天体望遠鏡を向け、大雪と満天の星空が共存するような物語に、リアリティを求めるのがおかしい。
製作側が、リアリティを求めたと力説している場合は、その限りではないがな。
話がそれた。
クリスマスイブに訪れた大停電と、その大停電の中で「ちょっと人生の変わった」12人の物語。
「大停電の起きた奇跡の夜」というシチュエーションを生かした個々の物語は、その完成度こそ格別の高さではないにせよ、良い話には違いなく、私の趣味ではあった。
だがしかし、これは連作映画ではない。短編の連続上映でもない。
一本の映画だ。
で、あるならば、個々の物語は美しくかみ合ってこそ、その威力を発揮せねばならない。
この映画に失敗した。
人工衛星追跡マニアと、乳ガンの手術を控えた少女の物語は完全に浮いているし、他の物語もあまり美しくかみ合っているとは言えない。
ここが綺麗に決まれば、傑作になった可能性を感じさせるだけに非情に惜しい。
水準以上の出来なだけになおさら惜しい。