スーパーサイズ・ミー
監督:モーガン・スパーロック
出演:モーガン・スパーロック
2004年/米/98分/石田泰子/☆☆☆☆
批評 真面目さが裏目に出た
マクドナルドは言う。食べ続けても問題ないと。
栄養士は言う。健康に良くないと。
よし、一ヶ月間、平均的な生活 (運動量) をしつづけ、さらに、マクドナルドで販売しているものだけを口にして生活すると、果たしてどうなるのか、やってみようじゃないか。
という狂った企画を本当にやってみせたドキュメンタリ。
マイケル・ムーアの成功によって切り開けた、社会問題をブラックユーモアで引っ掻き回す手法によって、エンターテイメント製を確保したままの問題提起映画に仕上がっている。
ただ、この映画は、「マクドナルドの製品を食べつづけたらどうなるか?」という部分に注視しすぎて、周りの追跡が出来なくなっているように思う。
Mrビックマック (見れば分かる) のその後は ED クレジットでちょっと出てくるだけだし、電話で繰り返し取材申し込みをしていた間マクドナルド社長は、結局どうなったのかとか分からない。
そうした部分の先も知りたい、というのが本心だ。
それと、たとえサラダであってもドレッシングをぶちまけた結果、体に害をなす物になるのはよく分かった。マック最悪の代物がフライドポテトであることもよく分かった。
それで、一ヶ月間に渡って食べた全メニューは?
「全メニューを制覇すること」という目標を9日目に制覇したという事は、そこから先は繰り返しになているのだろうが、その繰り返しの法則は?
摂取できてしまうカロリー値や、食品に含まれる中毒物質等の、より細かい部分は分かったから、体を壊した、具体的なメニューは?
このあたりにも、「食べつづけたらどうなるか」という目的を明示することに集中しすぎているように感じる。
実際、変化している過程を見せるのは実にうまい。そして面白い。
医者を連れてきて、体重や体型はもちろん、血液や消化器系の変化状態を明示、あげくに付き合っている彼女を連れてきて性生活にいたるまで、ありとあらゆる事柄を見せてゆく。
その徹底ぶりは見事というほか無い。
しかし、だからこそ、その目的の手段部分で出てきた、本題とはややずれた部分に対する、あるい程度の目配せが欲しかった。
それに成功すれば、あと一段、面白くなったと思うぞ。