ブラウン・バニー
批評 評価して良いのか悪いのか
チャールズ・チャップリン「独裁者」等が有名であるが、最後に向けて長い長い助走をする映画は多い。
この映画もその手の映画だ。
バイクレーサーの男が、次のレース場に向かって走り続ける話。
話が進むにつれて、徐々に、次のレースというよりも、誰か女性に会いに行こうとしているのが分かってくるのだが、映画はそれをたんたんと撮りつづけるだけ。
台詞も説明らしい説明もほとんど無く、ひたすら“何か事情があるらしい主人公”が“
北米大陸を移動する”だけで映画の9割をしめる。
たしかに美しい画なんだが、たいへんに眠い内容だとも言える。
余談だが、上映終了後出口に向かう途中、二人ほど“落ち”ているのを見た
私も飛びかけた。疲れてる時に見る映画じゃない。
だが、猛烈な眠気が一瞬で吹っ飛ぶのが最後十数分目。
まず、強烈なラブシーン。
その内容も、それだけではただ必要以上に過激なだけ。
だが、女優はここまでやらねばならんのか!?という疑問符が頭を埋め尽くしたその後、本当の衝撃が来た。
これまでのあまりにも眠い展開にも、強烈過ぎるラブシーンにも、すべて意味があったという衝撃的な事実を、知らされる。
これは本当に驚いた。
一気に目がさめた。
だが、劇場を出て冷静になってみると、加速のさせ方が、実は、ただのナルシズムなのではないか!?という疑問符もまた浮かんでくる。
...どう判断してよいのやらさっぱりわからんが、とにかく凄い映画ではあった。