ゴースト・シップ
監督:スティーブ・ベック
出演:ガブリエル・バーン/ジュリアナ・マルグリース/ロン・エルダード
2002年/米/91分/林完治/☆☆☆
批評 ジョエル・シルバーなのに爆発が...
霧の向こうから突如として出現する朽ち果てた船...
この王道の幽霊船映画を、真正面から取り上げた B 級ホラー映画。
幽霊船映画の常として、船にはいってからは幽霊屋敷映画になってしまうのが残念。しかもこの映画の物語展開だと、結論も含めて朽ちた屋敷でも出来る。
船の真実が明かされる過程で出てくる「他の遭難船を救出」というエピソードでさえ、やろうと思えば遭難者や事故を起こした人を救出して...というシチュエーションで代行できてしまうのだ。
このあたり、もうちょっとひねりが欲しかった。
基本的な部分でも疑問は残る。海難事故の末、漂流する船舶は数多いだろう。んが、レーダーも人工衛星もあるこの時代に、豪華客船が何十年も誰にも発見されず漂流するってありえるのか?
ありえるんだとすればともかく、ありえないんだとすると、このサルベージチームが「凄腕」てのに、ちょっと説得力がなくなるね。だって怪しげな男の証言と数枚の写真だけで信じて行っちゃうんだもの。
こうした欠点含めて全部が B 級。けどこの映画、おそらく狙って作ってる。
残念なのは、文字通りすべての真相が明らかになる最後。
ここまで丁寧に船の中だけで物語を進めていたのに、おもむろに「サタンの命令によって罪にまみれた魂を集めている」とか言われてもねぇ。
冒頭以上にスプラッタな描写が無いのは良いけど、このオチはちょっと拍子抜けだ。
なお、製作にジョエル・シルバーの名前があるにもかかわらず、途中と最後に映画のジャンル的に定番な爆発があるだけで、ジョエル・シルバァァァァァァァァ!!!!というような極端な爆発が無い。
非常に残念なようなそうでないような...