バトル・ロワイアル2
監督:深作欣二/深作健太
出演:藤原竜也/前田愛/忍成修吾
2003年/日/133分/☆
批評 革命!?あっそ
共産革命主義者と呼称される過激派。
彼らの発言の、労働者を子供にすればこの映画の内容に合うだろう。
反米帝主義万歳!!子供万歳!!子供解放!!革命!!
恐ろしい事に、それしかない映画である。
私は、前作も、はっきり言ってたいした映画ではないと思っている。
あいも変わらず、ディティールに対するこだわりを持たず、整合性を無視し、やたらと暗い画面で、ただ暴力的に展開する。そういう評価だ。だが、少なくとも、それまでの深作映画と同様の、むき出しの暴力性はあった。
しかし、この映画にはそれさえない。
誰が敵に回るか分からない、という前作の混沌とした状況さえ存在しない、単純に善悪で分けられた世界で繰り広げられるその物語の中で、「勝ち組と負け組の二つしか存在しない。本当にそうなのか?」というオトナの疑問が空虚に響き渡る。
具体的な名前をかたられずに繰り広げられる、世界覇権を成し遂げようとする国の実態を批判する言葉が、物語の内容と関係なく繰り出される。
そうまでして反米感情をだしながら、アクションシーンは米国映画である「プライベート・ライアン」や「ブラックホーク・ダウン」の戦闘シーンを、センス無く模倣しているだけ。
三年たって立派なテロリストになった主人公は、思想の為にはゲリラもテロも戦争もあらゆる破壊と殺人行為もやむなしという考えにそまった、ただの大人と化している現実に、言葉ではともかく、脚本家がその意味に気が付いているとはとても思えない。
前作でも、自分の責任をまったく考えていなかった大人達はより酷い思考に汚染されている。挙げ句の果てに、前作の最後、死に際に子供に向かって放った台詞
「人を嫌うってことはそれだけの覚悟があるんだろうな!」
という問いは、より寒々しくなっている。
自分たちが育てた子供を毛嫌いするオトナに言われていた前作でも嘲笑いするだけだったが、本作では言った本人は自分の子供の誕生日さえ覚えていないような男だったことが明かされるからだ。
だが、そうした問題さえ些末的な問題点に見えてしまう欠陥。それは、この展開で、BR 法を持ち出す理由が分からない、という点にある。
最後の状況を考えても、どうしても整合性が取れているとは思えない。もはや基本プロットから崩壊していると言えよう。