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ヴィドック
監督:ピトフ
出演:ジェラール・ドパルデュー/ギヨーム・カネ
2001年/仏/68分/寺尾次郎/☆☆☆

批評 画を魅せる?物語を魅せる

 革命による、ブルボン王朝打倒前夜という、歴史的一大事の影で行われるオカルト大戦(?)

 その時代を再現した美術は素晴らしいし (ヨーロッパ史はとんと無知なので時代考証が正しいのかは知らないが)、その中で繰り広げられるオカルト怪人 vs 人間の闘いは確かに面白いし、とても美しい“美術”だ。
 ピトフは、この映画が、監督としてはデビュー作だが、伊達に「ロストチルドレン」などでジュネの下にいたわけではない。

 デジタルカメラと CG の親和性の良さもあるのだろうが。そこに着目できたというのはやはり監督の手腕だ。
 CG の限界からか、一部のシーンは背景を空で誤魔化す (それはそれで空が素晴らしい完成度を誇っているのだが) 方法で奥行き計算を省略したようだが。

 こうしたビジュアル的な面白さを、脚本は支えられなかった。
 主人公ヴィドックが冒頭で死に、伝記作家エチエンヌがその男の跡を追って殺人犯を突き止めるという構成になっている。

 エチエンヌがヴィドックの後を追う方法が、あまりにも情けない。
 ヴィドックの捜査資料から、机の上で追い掛けるというカットバック構成で行えば良い部分も多いのに、エチエンヌが実際に出向いて証言を集めて物語を進めるという方法が取られる。
 エチエンヌはパリの町を右から左へと大疾走。
 ヴィドックが取ったのと同じ方法で捜査を進める...のだが、こんなに簡単に真実にたどり着いたのでは、ヴィドックが“凄腕”なのかどうかが伝わってこない。
 ヴィドックは「凄腕だから伝説」になったのではなく、「伝説だから凄腕だと思われていた」の間違いじゃないのか?
 そろほどヴィドックの残した資料は少なく、物事の核心に迫る証言が都合よくポンポンポンポン出てきてしまう。

 御都合主義の脚本だと思えば良いのかもしれない、しかしそうするとこの脚本はいったいなにが言いたいんだろうか?
 ヴィドックの伝説っぷりは上記の理由で伝わってこないし、犯人当てのミステリーとしてはあからさますぎる(あまりにもあからさまなので、最期にひっくり返しがあるんじゃないかとさえ思った)。
 アクション映画としては、まさに「ビジュアルがすごいだけ」で、そのビジュアルだけがずば抜けてしまっている。

 正当派ミステリーのように始まって、オカルトになって行く過程は面白かったけど、明白なテーマが見えないし、その変化にどんな意味も無い。
 これじゃぁせっかくのビジュアルも活かしきれないよ。
 どうせなら脚本の技巧をあきらめて、ただひたすらビジュアルで押してしまえば良かったのだ。
 そう、「ザ・セル」のように。

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