ピンポン
監督:曽利文彦
出演:窪塚洋介/ARATA/サム・リー
2002年/日/114分/☆☆☆☆
批評 馬鹿炸裂
ついに邦画でこの手の馬鹿映画が生まれたか!!と、私は拍手喝采で迎えたい。
「ジュブナイル」にしてもそうだが、その最大の特徴は CG の使い方の上手さにある。どちらも CG 製作をやっていたということなので、経験的にどう CG を使うのが効果的か、どう使うと自然に見えるのかを知っているのだろう。
「この星の一等賞になりたいの俺は卓球で。そんだけ!」と言い切ってしまうほど卓球の好きなペコ。
幼なじみのスマイルは卓球の才能は有るが、「卓球なんて死ぬまでの暇つぶし」と言い切る姿勢と優しい性格が災いして、実力を発揮出来ていない。
そんなペコは、中国からの留学生チャイナとの練習試合に惨敗。続くインターハイでは特訓を潜り抜けたライバルのアクマにも負けてしまう。
大きな壁にぶつかるペコとは対照的に、己に自信を付け始めたスマイルは次第に強くなって行く。
そして、次のインターハイがやってくる...
演出や使い方の上手いCG (試合開始時に、球を上に投げるシーンの CG はいただけ無いが) はもちろんだが、キャスティングも上手かった。
制御の難しい竹中直人を暴走キャラクタに配置して、超然とした主人公の対極に置いた上、直接交差させる事を無くしたのは絶妙。
たしかにこの方法なら物語を持って行かれることは無くなるな。主人公が引っ張ってない時に画を持って行かれてもカヴァーは可能だから。
問題は脚本。「GO」の時も思ったのだが、脚本家の宮藤官九郎はサブキャラのカキコミがあんまり上手くないね。
「GO」の時はヒロインの気持ちの流れが分かりにくかったし、今回は幼なじみのスマイルの変化が分かり難い。
最初は相手を「可哀相」と言っていたのが、途中で「お前には才能が無かった」とまで言うようになる、その変化がいきなりすぎるように思う。原作にはその辺りのフォローがあるのかもしれないが、映画には無い。
もう一つは、ビジュアル的なクライマックスと物語的なクライマックスが分離している。
ビジュアル的にはペコとドラゴンの準決勝戦が、物語的にはその後のペコとスマイルの決勝戦がクライマックスになってしまっている。
とは言え、ドラゴンとの勝負もスマイルとの勝負もやったら明らかにツマラナイだろうし、ドラゴンとの勝負をやらないわけにはイカンだろうし。難しいところだ。
全体としては非常に良く出来た (良い意味での) 馬鹿映画だと思う。
純粋エンターテイメントとして、日本でもこのタイプの馬鹿映画が出てきた事を拍手喝采で迎えよう。
なんでこういう映画を、大手がやらないのかね?