コラテラル・ダメージ
監督:アンドリュー・デイビス
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー
2001年/米/--分/菊池浩司/☆
批評 善悪逆転!?
テロで妻子を殺された消防士が、コロンビアまでテロリストを追いかけて復讐する話。
2001年9月の米国テロ事件で公開が延期になったのもうなずける内容。
演出に盛り上がりが欠けるとか、物語のプロットに荒が多いとか、問題はたしかに多いが、最大の問題はどう考えてもテロリストの言い分が正しいことだろう。
復讐相手と対面した時に
「私とお前も殺しを行う理由があるらしい。では私とお前でなにが違う?」
とテロリストが聞く。
それに対する回答が
「俺はお前しか殺らない」
どっこいこの直前に、テロリストのいる家を吹っ飛ばしてるんだよね。その家にはテロリストの妻子もいたというのに。これでこの言葉のどこに説得力を感じろというのだろう?
最後に、テロリストが己の子供を犠牲にして作戦を遂行しようとする描写があるので、それが一応のフォローになっている。が、それまでの展開があまりにもテロリストの正論が目立つ。
結果、主人公がただの復讐鬼にしか見えぬ。それもかなり極悪な、わがままな。
後々の政治家家業へのイメージ戦略なのか、最近は家族のためにたたかうことが普通になってきたシュワルツェネッガー。その割に面白い映画が少ないからイメージ戦略としてはイカンのではなかろうか?しかも彼の脚本判読能力の低さを明らかにしているような気もする。