千年女優
監督:今敏
出演:荘司美代子/小山茉美/折笠富美子
2001年/日/87分/☆☆☆☆☆
批評 純粋とは狂気なのか?
初恋の産んだ、純粋な恋愛感情に突き動かされて彼女は女優になった。
「あの人が、映画に出ている私を見てくれれば、きっとまた会える」
純粋な故に、狂気にも似た千年を駆け抜ける恋物語。
人に語られる物語は、それが事実であるかどうかよりも、語られる物語そのものにその進化がある。
という映画の持つメッセージそのものは、「ダスト」と共通しているし、その面だけ見ると「ダスト」の方が優れている。
この作品は、むしろもう一つの主題である恋愛部分を押したい。
時が戦争に動いていた少女の頃に出会った、名前も、顔もはっきりとは覚えていない一人の男性“鍵の君”。
画家にして、反政府運動家らしき彼を、ひたすらに思いつづけた彼女の直向さだ。
彼を見つけたい、という気持ちだけで役者になり、彼に気が付いて欲しいという気持ちだけで演技を続ける彼女は、純粋な恋愛感情というよりは、なにかに憑かれた狂気のような直向さを見せる。
彼女は彼のためだけに生き、そして死ぬ。
誰かのために人生を投げ出すこと。誰かのために己のすべてを放棄すること。
最後の台詞はその行動の意味、疑問を問うのか?果たしてそれは狂気なのか愚かさなのか美しさなのか、素直さなのか。
そのあたりは女性に聞いてみたいな。誰か見た人、いませんか?