貴殿は
1999年5月2日以来
Counter
人目の挑戦者だ

表  紙

更新履歴

新 日 記

全映画批評

映画批評・壱
2015年版
2014年  2013年
2012年  2011年
2010年  2009年
2008年  2007年
2006年  2005年
2004年  2003年
2002年  2001年
2000年  1999年

映画批評・弐

最低映画への
有罪判決

その小屋
どうだった?

徒 然 草

掲 示 板

EUREKA
監督:青山真治
出演:役所広司/宮崎あおい/宮崎将/斉藤陽一郎
2000年/日本/217分/☆☆☆☆☆

批評 意外性のない、意外な映画

 九州で起きたバスジャック事件。犯人さえも射殺された事件で生き残ったのは、バスの運転巣、沢井と、乗客の中学生の兄妹、直樹・梢の3人だけ。
 事件後、マスコミの好奇の目にさらされ外界との接触を断った3人。失踪する沢木、言葉を発しなくなった直樹と梢。
 2年後、人々の間で事件は過去のものとなっていた。
 沢井は、傷ついたまま街に戻ってきた。兄妹の家庭は、崩壊していた...

 プロローグのバスジャック。
 前半の、沢井と口も聞かぬ兄妹、その従兄でる秋彦 (青山真治「Helpless」の物語でただ一人の生き残ったのと同一人物?)の奇妙な共同生活。
 後半の、バス旅行による再出発のための旅。という構成。

 絶対に他者には理解されないであろうトラウマを、いかにして乗り越えるか?というテーマにおいて、この構成はきわめて重大な意味を持っている。
 トラウマの形成から、立ち直らねばならない理由、立ち直るためのあがき、という構成と重なるからだ。

 全体を支配している色彩も、これに重大な意味を持つ。
 「クロマティックB&W」と名付けられたセピア調の色は、特に後半、九州の自然の、空間的広がりを伝えるのにふさわしく、同時に登場人物たちの色あせた心を表現することに成功した。
 だからこそ沢井と梢が、立ち直る理由を自分なりに見つけた瞬間、画面に広がる色彩が見るものの心を激しく揺さぶるのだろう。

 意外な画は一回もでてこない。人間観にも、意外な面はない。立ち直らねばならない理由も、特に目新しいものではない。しかし4時間近い間、私はスクリーンからは目を離すことができず、新鮮な驚きとともに終幕を迎えた。

 なお冒頭、バスジャック事件の警察の描写にデタラメが目立つのはちょっといただけなかった。本質とは全然違う部分とは言え、画的にあきらかに嘘を付くのはやっぱりね。

戻る