アメリ
監督:ジャン=ピエール・ジェネ
出演:オドレイ・トトゥ/マチュー・カソヴィッツ/リュフェス
2001年/仏/121分//☆☆☆☆☆
批評 スタイリッシュで可愛い
ジャン=ピエール・ジェネと言えば、「デリカッセン」「ロストチルドレン」の美しい映像で綴られる恐怖が印象的だ。
しかし本作品「アメリ」では、その恐怖はない。
美しい映像で語られる、可愛いお話。そう、この映画は「話」ではなく「お話」という面持ちの作品に仕上がっている。
アメリ。彼女は、空想し、人にちょっとしたイタズラを仕掛けて、幸せにや、ちょっとした不幸を訪れさせていた。
そんな彼女が、気づかぬうちに目を背け、苦手としていたのが現実との対話。
ある時見つけたスピード写真の切れ端を集めたアルバムが、彼女に現実との対話をせまる。
こう書くと「また自分探しか?」と思われるかも知れないが、実際にはそれが一つの柱になっているだけで、どちらかと言うと恋愛映画の要素の方が強いし、見ていても悩む、というよりもおかしくてクスクス笑えるといった風情の仕上がりになっている。
抜群なのは、ジュネの演出力。
相変わらず、ちょっと上から、人の顔に極端に寄る画は多様されているが、似ているのは構図だけでもっと明るい。
まさかこういう映像を作らせても上手いとは思わなかった。運河でアメリが水切りをするシーンなど、これまでのジュネからは想像もつかぬかわいらしさがにじみ出ている。
欠点としては、最期の流れ。カフェで主人公が想い人に対して勘違いをする下りの描写。あれはちょっと邪魔じゃないか?やるならもうちょっと早めに複線を張らないと今一つ面白くない。
それに明白な勘違いだと観客に分からせるためには、もう一本別の複線が必要だった様に思う。