ブラッダ(東京国際ファンタスティック映画祭2000にて)
(THEY NEST)
監督:エロマー・エルカイエム
出演:トーマス・キャラブロ
2000年/米国/92分//☆☆☆☆
批評 B級昆虫パニックホラーの秀作
全体としての完成度は、B級の名にふさわしい完成度。
ふさわしくないのは、異様なまでにクリアな画。B級ホラーといえば、安いフィルムと安いカメラ。ついでにスタッフの腕と三拍子そろって荒れた映像というイメージが強いが(って、私だけか?)、この映画は正反対。
物語をようやくすると、人間の体内に巣を作る殺人ゴキブリ様が島を襲う!!そういう話。繰り返すがB級である。けど、はっきり言ってB級の面白さがここにある。
物語はいかにもな出だしで始まる。最初に、舞台となる島にアル中が原因で休暇を命令された医者が来る。島の住民は閉鎖的で、好意的なのはヒロインと頑固な保安官だけ。
続いて発生する異常事態。往々にしてそれは微弱な物で、異常に気がつくのはただ一人主人公だけ。
全編こんな感じ。ただちょっと違うのは、主人公に反発する連中は、最後まで懐柔されることなく。懐柔されそうになった瞬間、ゴキ様の大群に襲われて死にます。
その大群襲来シーンがスゴイ!!劇場が大爆笑に包まれました。
ほとんどの住民が避難した島で、僅かに残ったのは主人公一派と反目する一派。彼らが口論していると突如として羽音が!!
「ま、まさか...」と登場人物がいった瞬間。観客全員の脳裏にも同じ言葉が!!
次の瞬間、アナタの予想したとおりのシーンが見られます。
ヒッチ・コックの「鳥」なのか、パーホーベンの「スターシップ・トゥルーパーズ」なのか(虫であることからすると後者!?)知りませんが、はっきり言ってすごいシーンでした。
この後も、いくつかの困難があって、結局丸く収まって、B級の常として思わせぶりな「本当に終わったの?」みたいなシーンがあっておしまい。
あなたがB級ファンなら、開始後10分で結末まで予測できます。
けど、B級ホラーファンならば絶対に見るべき作品。そういうあなたならば完全に愉しめる作品です。