演劇レーベル Bo-tanz第20回公演
ビリディアンの迷宮
脚本:花田智/演出:木村淳
出演:高橋 彰規/原麻理子/羽鳥 友子
☆☆

批評 はっきり言って面白く無かった
 個々のジョークは猛烈に面白いのだが、物語の面白さと繋がっていないように思う。
 カット・シーンでは面白いが繋がるとガタガタとでも言おうか。

 個々のジョークも首をかしげる部分が少なくない。
 特に過去の舞台を見ていなければ笑えない部分と言うのはそれで良いんだろうかと思う。
 少なくとも、今回始めてみる人には不親切極まることになると言えるだろう。映画であればレンタルビデオで見直すことも出来るだろうが、舞台ではそうも行かないからね。
 一見さんお断りな舞台として作ったのであればそれでも良いのだろうが。それとも私が勘違いしているだけで一見さんお断りだったのか?

 全体のプロットになると、正直なところまとまりが感じられない。
 タクシー運転手のキャラが強する上、「十数年前にも噴火するという騒ぎが合った」と言いすぎて後半の展開がミエミエ。
 その火山のネタにしても、十数年前と同じシチュエーションを作り出したかったのか、それとも特殊な環境を作ることが目的だったのか判然としないが、今一つ噴火するかもしれないという必然性が弱い。
 特に十数年前の騒ぎの時は、一人の男が言い出したことが発端だと言うが、一人の男がいかなる方法を持って日本中を混乱させることに成功したのだろうか?その時も頻発に地震が合ったのだろうか?だとすると、その混乱した状況下でどうやって人を集めて大規模なセットを組み、撮影目前 (ひょっとしたら撮影開始後に頓挫したのかも知れぬが) にまで持ち込むことが出来たのだろうか?はたまた....と謎は尽きない。

 他にも、ヒロイン以外のキャラクタがなぜあの場所にいるのかが分からない。
 雑誌に応募要項が掲載され、それに基づく応募の結果書類審査が行われ、という流れから推測して、知り合いばかりが合格した理由というのが見当たらない。
 知り合い以外の人間も募集したと考えるのが妥当なのではなかろうか?それともそんなに狭い業界なのか?あるいはものすごい狭い範囲にしか読まれていない雑誌なのか?

 助監督のヒロインに対する感情の説明が弱い。
 助監督は、ヒロインへの恋愛感情。あるいはそれに類する感情による行動なのか、それとも監督に対する尊敬、畏怖の念からの行動なのか。それともその両方なのかが整理されているとは言い。
 どうせなら板挟みの感情の中で狂気に走ってしまうくらいの仕掛けにしてしまえば良かったのではなかろうか?
 そうすると、ラストに助監督は救われないことになるけど。だって心の寄りどころが二人とも死んでるんだもの。自分とはなんの関係も無い場所で、二人っきりで。

 この監督も「ものすごい映画監督」と言われてるだけで、どう凄いのかが分からん。
 そもそもこの監督の伝説の名作の内容がさっぱり分からんし。
 ついでに言うと、本来撮ろうとしていた「ビリディアンの迷宮」という映画の内容も全然分からん。
 それとも燃やされて残ってないってことなのだろうか?


 とまぁ、個々の話に矛盾がある上にいくつかの複線には解決が無い。
 少なくとも私はこういう話を面白いとは思わない。なのになんで☆☆なのかって?個々のギャグには存分に笑わせてもらったからね。
 「月はどっちに出ている?」とか。よりによって JMW だもんな。


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